マックは現在、国内約3300店舗のうち66%をFCが占めている。'07年には28%にすぎなかったが、直営店のFC転換を本格化させた'08年以降、フランチャイズ化が急速に進んでいる。そこにどんな思惑があったのか。
「直営店からFCに転換すれば、店舗スタッフがFCに転籍するためマックは人件費負担を免れるし、店舗から毎月のように賃貸収入が入る。これにロイヤルティー収入を加えればマック本体は“左ウチワ”になって当然です。100円バーガーなど、マック店頭での稼ぎとは明らかに桁が違います」(証券アナリスト)
今年の末にはFC化比率を70%まで高め、これを限りなく100%に近づける計画だという。そうなれば当然、FC転換による利益成長の鈍化が避けられないが、むろん、そんな事態を見越した戦略も動き出している。ハンバーガーの宅配サービスがその一つだ。これを現在の11倍に当たる250店舗に拡大し、将来的には全店舗の半数近くまで広げるシナリオを描いている。本業回帰ともいうべきビッグマック拡販による挽回策も、その脈絡で捉えると極めて分かりやすい。しかし、原田社長の自信の裏づけでもあった成長力に大きな陰りが見えてきた今、「米マック本社が『ポスト原田』を意識しないわけがない」と、情報筋は打ち明ける。
「彼は、米アップル日本法人の社長からヘッドハンティングされた経歴の持ち主で、外食産業は全くの素人でした。当初は“Macからマックへ華麗なる転身”と話題にもなりましたが、米マック本社とすれば、さすがに『賞味期限切れ近し』と判断し、ひそかに後継者選びを始めたとしても不思議ではありません」
ナルホド、そう理解すれば「値引きはしない」と口にした原田社長が、V字回復に向けて再び堂々と“同じやり方”で活路を見出したのも納得がいく。いくらカリスマ経営者でも、親の顔色は気になるのだろう。
「そもそも外食市場が縮小する中で、客数増を前提にした戦略を立てること自体“邪道”ですよ」(前出・アナリスト)
確かにこんな初歩的な経営理論は、アップルのコンピューター“Mac”なら、一発解答してくれそうなものだが…。