テレビ朝日は、金正雲氏とみられる最近の写真を入手したと報じた後、その後のニュース番組で複数の韓国メディアから別人との指摘を受けたことを明らかにし、「信ぴょう性に疑いが出ている」と説明した。確認作業を進めているという。
同日夜の「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスターは、新聞のテレビ欄で予告していた番組内容を変更することについて「本当に申し訳ありません」と謝罪した。
テレ朝は昼のニュースなどで、写真を韓国当局の関係者から入手し、複数の信頼できる関係者が本人であると証言したと報道。関係者の1人は、北朝鮮の指導部に近く正雲氏に何度か会った人物で「90パーセント間違いない」と発言したと伝えた。
正雲氏とされる写真は、Tシャツ姿でサングラスを掛けており、背格好や雰囲気などが金総書記によく似ていた。
ガセ疑惑が浮上した背景には、写真にうつった人物が“これはオレだ”と名乗り出たことがある。
ソウル発共同通信によると、韓国の聯合ニュースは10日、テレビ朝日が同日、正雲氏の最近の姿を撮影したものだとして放映した写真について、40歳の韓国人男性がインターネット上で公開している自分の写真だと主張していると報じた。男性が同ニュースに対し、電話で語ったという。
同ニュースによると、男性は掲示板を運営している建設業者。写真について「昨年夏に農場に遊びに行って撮影した写真で、今年2月に掲示板に掲載した。掲示板の会員たちが見て『金正日(総書記)に似ている』と言い、金正日(総書記)の写真と並べて掲載した」と説明。「こんなことが起きるとは思いもしなかった」と語った。
さらに「テレビ朝日からは報道前も報道後も何(の接触)もない。どうやって入手したのか分からないが、テレビ朝日が公開した写真は私の写真だ」と話しているという。
北朝鮮事情に詳しいジャーナリストは「金総書記ファミリーの顔写真や実像が語られることはほとんどない。それだけ神秘性を大切にしており、簡単に他人の写真に収まるような言動なんかしない。しかし、露出しまくっている長男・正男氏の件もあるから、すぐにガセと決めることはできない」と話した。