若林といえば、童顔と相反した鋭い舌鋒、斜に構えたツッコミセンスが魅力なのか、女性ファンから「若さま」と呼ばれている。相方の春日俊彰と務めるラジオ『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)は、若さまがテレビで見せない闇と毒がダダ漏れとあって、同局を代表する大人気プログラムだ。その高実績も、テレ朝深夜枠を1人で担った要因かもしれない。
研究員の肩書きの若林を上座に座らせて、番組をどんどん進行していくのは、研究助手である弘中綾香テレビ朝日アナウンサー。同局の看板音楽番組『ミュージックステーション』で、タモリとコンビを組む26歳だ。ももいろクローバーZ・玉井詩織を激烈に推しているモノノフ(ももクロファンの呼称)でもある弘中は、週1ペースでタモリや大物ミュージシャンを相手にサクサク進行しているだけあって、肝の据わり方がハンパない。キャリア4年と思えない大物っぷりだ。
番組は、九死に一生を得た一般人、前代未聞のおバカ事件に巻き込まれた文化人などの“激レアさん”をスタジオに招き、ウソのような実体験話をヘタなイラスト、手書きフリップ、写真などで説明していく。実話だけで満腹感を得られるのだが、時にはディスり、時には上から目線で、テキトーにあしらったり、無駄な知識をバンバン入れ込んだり。激レアさんを敬っているのか、小馬鹿にしているのか、疑問を抱かざるを得ないシーンを、事もあろうか弘中アナが生んでいるのだ。
登場する激レアさんは、風俗店でくも膜下出血になった人気漫画家、育毛剤で医学界の常識を変えた普通の主婦、洞窟や洞穴で43年暮らした野人、ヒアリに70回以上も刺されている研究員、ドバイの王族に気に入られた短パンのおじさんなど。予想を上回るガチレアばかり。それを、清楚系女子アナが腹黒さを垣間見せながら、若林が煽り、ツッコみ、便乗しながら紹介していく。一筋縄でいかないお笑いのセオリーが、そこにはあるのだ。
女子アナ、芸人、激レアさん。笑いの三つ巴戦をけん引しているのは、若さまをも手玉に取る弘中アナ。ここが、醍醐味なのだ。