確かに褒められれば嬉しい。こういった方法は、大人にも通用するのでしょうか。また、褒められると脳にはどんな影響があるのか。
今回は、医師の小田切ヨシカズ先生に、褒めることでもたらされる脳への影響についてお聞きしました。
■褒められることが報酬になる
「脳内には、線条体と呼ばれる器官があります。人間は褒められると、この線条体が反応することが分かっています。また、ほかの実験では、ある作業に対して賃金を得た際にも、同じ部分の反応が確認されました。上記のことから言えるのは、褒められることは賃金を得るのと同じであり、脳には報酬として捉えられているということです。だから人間は褒められれば嬉しいし、褒められることを目標に頑張れるのです」
■ドーパミンの分泌を促す
「脳内の線条体が反応すると、神経伝達物質であるドーパミンの分泌が促されます。ドーパミンの効果は、集中力や記憶力の向上。それにともない、ヤル気もぐんぐん湧いてきます。褒めることは、これだけの効果を生み出すのです。もちろん、この反応は子どもだけでなく、大人も同様に起きるものです。ですから、褒めれば大人も伸びる。脳の活性化にもつながりますから、褒められることは脳にとって非常に有効だと言えるでしょう」
■ただ褒めるのを繰り返してはダメ
「ただ、褒めるにしても、やたらと繰り返してはいけません。報酬が与え続けられれば、脳もそれに慣れてしまい、反応が薄れてきます。こうすれば褒められるだろうという、予測行動を起こすようになっては意味がありません。ですから褒める前に、しっかり相手を観察すること。結果に至る過程や、努力を具体的に取り上げて褒めてあげなくてはなりません。褒める側にも能力が必要だと言えます。こうして褒め方を工夫することで、褒める側の脳も活性化していきますね」
褒めることはいいことばかり。相手だけでなく、自分にも良い影響がもたらされます。人の良いところを見て、褒める部分を探すように生活すると、人生も豊かになっていきそうです。
【取材協力】小田切ヨシカズ
湘南育ちのサーファー医師。ワークライフバランス重視。現在、横浜の内科クリニックに勤務中。