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“YouTuberノリ“はそろそろ飽きられる? 芸能人のネット動画進出、変わってきた傾向とは

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カジサック(キングコング・梶原雄太)

 気軽にできないことに挑戦してくれるYouTuber。平成の文化の象徴ともいえる彼らが、令和になり早くも飽きられる時代が来ているのかもしれない。

 10〜20代を中心に、YouTubeを鑑賞する人は多い。しかし「動画に求めるもの」は変わりつつある。チャンネル登録者が何百万人もいるYouTuberたちは、こぞって「メインチャンネル」と他に「サブチャンネル」なるものを持っていて、メインの動画にするほどではないものの面白いことや、普段の自分たちの様子、メイン企画の裏側などを投稿している。それらが好まれるのは、視聴動機が「企画が大がかりで目を引くから見る」というより「そのYouTuberたちが好きだから見る」という点に変わってきているからだろう。

 「〜をやってみた」など、テレビではできない、ネットだからこそできる危ない企画を中高生のころに見て楽しんでいた視聴者たちも、今や大人になっている。一握りのYouTuberのファンとなった人たちが、彼らの静かな日常のやりとり、落ち着いたトーク、人となりを見たいといった需要が増しつつある。要は大多数のYouTuberが発信する「インパクトのある企画に大はしゃぎで挑戦する」ことに付いていけなくなり、見るのが恥ずかしくなってきたのだ。

 その点、人気となっているのが芸能人の日常だ。ここ数年で芸能人のYouTube進出が急増し、7月にチャンネル登録者100万人を達成したカジサック(キングコング・梶原雄太)や、草彅剛、オリエンタルラジオ・中田敦彦、藤田ニコル、辻希美、小嶋陽菜など、コンスタントに動画を上げている芸能人だけでもこの多さ。最初は「YouTuberはYouTube、芸能人はテレビだから面白い。すみ分けしてほしい」と反対意見の多かった芸能人YouTuberだが、今セルフブランディングに特化した芸能人たちの動画が視聴者にウケている。

 面白い企画を考えて動画で視聴者数を稼ぎ、その広告収入で収益を得るYouTuberと違い、多くの芸能人はタレント活動という他の収入源があるため、YouTubeそのもので稼ぐ必要がない。むしろ本業とは違い、YouTubeでは日常的な自分を見せることで、YouTuberにあり、芸能人にないと言われていた“親近感”を与えることに成功している。多くの芸能人は編集もプロに任せているので見やすさも抜群だ。

 カジサックの対談動画や草彅の料理・衣服の紹介も人気だが、日常の発信が特に多いのは女性芸能人だ。藤田や小嶋は、自分自身が購入したコスメや服、普段のメイク方法やバッグの中身などを見せ、自分の愛用品を紹介している。これは「Video Blog」の略「VLOG」と呼ばれるジャンルで、自分のライフスタイルを動画で投稿している人を「Vlogger(ヴロガー)」とも呼ぶ。特に自分のブランドを持っている女性芸能人などは、自分自身にファンを付けることによって、動画の再生数が少なくても、後に自身のブランド購入率が上がれば、結果として動画が活きてくる。また一度限りのテレビ出演と違い動画は蓄積されていくので、一度視聴者がハマれば気軽に過去の動画を見返せるのもYouTubeを媒体に選ぶメリットだろう。

 女子高生たちが自撮りをするだけでなく、風景やグルメなどにも使われて使われる年齢層が上がってきたTiktokも流行がすたる様子はないが、単体で収益化するのは難しい。そうなると今後も芸能人がTwitter、Instagramと合わせて、より詳しく自己発信をする場に選ぶのはYouTubeなのだ。

 Vloggerを兼ねた芸能人たちのYouTube媒体への参入。視聴者がVLOGに流れれば、YouTubeだけで収益を得ているYouTuberは固定ファンが多く付いている一握りの人たちとそれ以外の二極化がさらに進み、「インパクトだけが大きくて本人たちが楽しんでいるだけの動画」ばかりアップしているYouTuberは視聴者の需要とズレが生じる。

 今までの「YouTuberらしさ」を捨てなければ、大多数が淘汰される日も近いかもしれない。

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