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FA権行使せず残留したのに、広島からトレードされた04年首位打者・嶋のトホホ

 3月10日、広島・嶋重宣外野手(35)と西武・江草仁貴投手(31)の交換トレードが成立したことが両球団から発表された。

 嶋といえば、背番号55にちなんだ“赤ゴジラ”の異名で知られ、04年にはセ・リーグ首位打者(.337)、最多安打(189)のタイトルを獲得した実績ある選手。広島では2000本安打を達成した大ベテランの前田智徳外野手(40)に次ぐ、チームの象徴的なプレーヤーだ。

 嶋は10年に国内FA権を取得したものの、同年オフには「愛着がわかないわけがない」として2年契約(推定年俸5000万円)を結び、権利を行使せず広島残留の道を選んだ。昨年には海外FA権も取得している。チームへの愛を叫んで残留したものの、契約途中で放出されるという、まさにトホホの結果となった。

 94年ドラフト2位で投手として広島に入団した嶋は、5年目の99年に野手に転向。それでも、5年間芽が出なかったが、10年目の04年に開花。首位打者、最多安打のタイトルを獲り、本塁打も27本放つ長打力も発揮した。05年には自己最多の32本塁打を記録している。しかし、レギュラーとして活躍したのは04年からの3年間だけで、07年以降は故障もあって不本意なシーズンが続き、代打に甘んじることも多かった。昨季はわずか54試合出場、打率.256、2本塁打、8打点で、04年以降でワーストのシーズンとなった。

 広島の外野陣は廣瀬純(32)、赤松真人(29)、天谷宗一郎(28)、岩本貴裕(25)、丸佳浩(22)らがレギュラー候補。新外国人のニック・スタビノア(29)、早稲田大からドラフト4位で入団した土生翔平(22)も使えるめどが立ったことから、ベテランの嶋は構想外となったもよう。

 西武に移籍しても、代打要員としての起用になりそうだが、パ・リーグには指名打者制もあり、広島にいるよりは出場機会が多くなる可能性はある。嶋にとっては、埼玉は出身地。地元に戻って、心機一転、頑張ってほしいものだ。
(落合一郎)

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