千鳥ヶ淵は桜の名所として知られ、例年約100万人の見物者が訪れる。今年は、被災者への配慮から、今月1日から予定されていた「さくら祭り」と、恒例の「千鳥ヶ淵桜並木ライトアップ」が中止となっている。
7日、千鳥ヶ淵緑道を埋め尽くした人々には粛々とした雰囲気が漂い、平日昼間のためか、多くが静かに桜を愛でていた。田安門を背景に新しい学生服を着た息子の写真を撮る母親や、日本武道館を眺めるカップルや、お堀の土手から水面に垂れ下がる桜の中へボートでこぎ出す人々の姿が見られた。
千鳥ヶ淵周辺の桜は、明治14年(1881)のイギリス大使館前の植樹をはじめとし、現在では、並木で約260本、内堀通りで約200本が咲き誇っている。また付近にある靖国神社には約400本、真田濠を含めた外壕には約350本が植えられている。靖国神社の桜は都心の開花宣言の指標。皇居の森を含め、千代田区内で、約3300本の桜が満開を迎えている。
北の丸公園にある東京国立近代美術館では、現在、東京電力による計画停電等への協力のため、常設展示である「所蔵作品展」を閉鎖している。3月8日から始まった特別展「生誕100年・岡本太郎展」のみ時間短縮のうえ開催されている。「岡本太郎展」入場者には、後日でも使用できる「所蔵作品展」招待券を配布するなどの対応をとっている。(竹内みちまろ)