大和屋さんは脚本家、映画監督、俳優と、幅広く活躍された方。日活の助監督出身で、退社後は若松孝二監督の「若松プロ」に参画し、監督や脚本家として数々の名作に関わりました。また、鈴木清順監督を中心とする脚本家グループ「具流八郎」の中心メンバーとして「殺しの烙印」など“清順派”アクション映画の屋台骨を支えました。
また、アニメ「ルパン三世」シリーズの演出・脚本でも有名ですが、今回上映される「毛の生えた拳銃」「荒野のダッチワイフ」などの作品のトーンが、後の「ルパン三世」シリーズのトーンと相通じていることが垣間見えます。
大和屋さんは93年1月16日、食道ガンのため55歳の若さで亡くなりました。私は彼の作品が昔から大好きで一度お目にかかりたかったのですが、「汀」をオープンした時には既に亡くなっており、会うこと適いませんでした。でも、若松監督をはじめ以前から私が会いたかった方がお店にいらっしゃることが多く、これも大和屋さんとの縁(えにし)によるものではないかと思えるのです。
なお、一角座での上映予定は次の通りです。
▼「裏切りの季節」(7月27日まで)
▼「荒野のダッチワイフ」(7月28日〜8月3日)28日に菊地成孔さんと荒戸源次郎さんをゲストに招き、トークショーが開催されます。
▼「愛欲の罠」(8月4日〜12日) 別題は「朝日のようにさわやかに」。映画監督やプロデューサーとして活躍している荒戸源次郎さんの俳優デビュー作です。原版が長いこと行方不明だったのですが、偶然にも日活の倉庫から発見され、このたびニュープリントとして焼き直されました。なお、4日に荒戸さんと上杉清文さん、11日に浦沢義雄さんと大和屋暁さんを招いてのトークショーが開催されます。
7月半ばには「毛の生えた拳銃」も上映されたのですが、うっかり私は見逃してしまいました…後悔先に立たず、ですね。