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中村橋之助、8代目中村芝翫襲名に感慨「父に恩返しができる」

 今秋、8代目中村芝翫(しかん)を襲名する歌舞伎俳優の中村橋之助が28日、都内で襲名を祝う会を開いた。橋之助の襲名とともに長男の中村国生が四代目中村橋之助に、次男の中村宗生が三代目中村福之助に、三男の中村宜生が四代目中村歌之助にそれぞれ襲名することになり、橋之助は「父が他界して5年。何も親孝行することができなかったのですが、8代目を襲名して改めて父に恩返しができるのかなと思いました」と心境を述べた。

 2382人の出席者を集めて行われたこの襲名を祝う会。会場には松本幸四郎、市川染五郎、市川海老蔵、市川猿之助、中村吉右衛門、尾上菊之助、中村獅童ら歌舞伎俳優のほか、秋元康、北大路欣也、名取裕子、原辰徳、松たか子、水谷豊、佐藤浩市、岩城滉一ら各界の著名人も多数来場。途中、坂田藤十郎らが祝辞を述べ、映画監督の山田洋次が乾杯の音頭をとった。

 会の後に報道陣の取材に応じた橋之助は「芝翫という名にはまだ慣れないです。昨日までは橋之助でしたからね。今日お客さんの中に入ったら改めて『芝翫さん』と呼んでくれる人がいて、鳥肌が立ちました」と感慨深げ。親子襲名については「歌舞伎界でも初めてのことじゃないですかね」と話し、「(尾上)菊五郎お兄様のところにいったら『一人でも大変なのによく息子まで』って言われました」と照れ笑い。

 また、会の開催に当たっては夫人で女優の三田寛子の尽力があったといい、「このパーティに向けてうちの女房が本当に頑張ってくれました。この何日か寝ていないんじゃないですかね」としみじみ。10月に襲名披露の興行を控えるが、「責任は大」と話すと「8代目芝翫は自分だけのものではない。歌舞伎のためにも今後尽力を尽くすのが使命だと思っています」と改めて意気込みを述べた。

 父の橋之助の名を継ぐ長男の国生は「僕が歌舞伎役者になったのは父の背中を見ていたから」とコメント。「父の橋之助に足すだけでなく、自分なりの橋之助になれるように頑張ります」と話していた。

(取材・文:名鹿祥史)

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