ハワイ語で「頂上に」を意味するというイコピコ。神戸新聞杯ではレコードでダービー2着馬リーチザクラウン以下に圧勝し、菊の大輪が見えてきた。
インフルエンザで先週の1週間、自宅療養していた西園調教師。まだ病み上がりの身にもかかわらず、火曜から早々と栗東トレセンに姿を現した。菊花賞ウイークを迎えて、居ても立ってもいられない、そんな指揮官の熱い思いが言葉の端々からも伝わってくる。
「先週のケイコは本当によく動いたね。ウチの中でも攻め駆けするエイシンタイガーを一瞬でちぎった。まだ3歳馬なのにこれだけ走るとは」と指揮官は休養中だった1週前追いを絶賛する。
2001年の菊花賞を制した父マンハッタンカフェは500キロを超す大型馬で、スケールの大きな走りが武器だったが、それに比べると460キロと馬体は小さい。しかし、前走の神戸新聞杯で見せた鬼脚は父親譲り、いやそれ以上だった。西園調教師もTRに対して満点の評価を与える。
「ゴール前では鞍上が抑えたほど。追えばもっと伸びていたんじゃないかな。コンスタントに上がり3F33秒台の脚を使えるのは本当にすごいよ」
切れ味とともに、この馬のもうひとつの長所が鞍上への従順さ、トップクラスの競馬センスだ。3000メートル戦を前に指揮官は折り合い面の良さを強調する。
「最近の菊花賞はスタミナ勝負というより、折り合いをつけての瞬発力勝負になりやすい。そんな中でまったく引っ掛からないのは武器だよ。見習い調教師の時にケイコをつけていたマチカネフクキタル(1997年菊花賞)と似たようなタイプじゃないかな」
鞍上は先週のレッドディザイアで打倒ブエナビスタを成し遂げた四位騎手。牝と牡の違いはあれ、ともに抜群の切れ味が武器とするだけにイメージはダブる。
「前走の神戸新聞杯でも鞍上にはこれといった指示を出さずにあれだけの完ぺきな騎乗をしてくれた。今回も彼の感性に任せるよ」
今週も四位騎乗のキレ馬が淀を駆ける…男版レッドが天下統一へと一直線だ。
【最終追いVTR】栗東坂路で800メートル52秒1→38秒2→12秒4(G一杯)。先週と同じようにハロー直後の走りやすい馬場で追われた。酒井騎手を背に、ラスト2Fから追い出されると、一気に加速。スピードは最後まで衰えぬままゴール板を駆け抜けた。さらに上昇ムード。