不手際だけが目立った夏場所(東京・両国国技館)は5月26日、平幕で三役の経験すらない朝乃山(25=高砂部屋)の初優勝で幕を閉じた。
令和初めての場所。しかも、国賓として来日したトランプ大統領が両国国技館で千秋楽の相撲を観戦し、優勝者には土俵に上がって自らアメリカから持参した高さ137センチ、30キロ余りもある「アメリカ合衆国大統領杯」をプレゼントするとあって、場所前から大盛り上がりだった。
ところが、いざ幕を開けてみると、先場所の覇者である横綱白鵬は春場所で痛めた右上腕部の筋断裂で全休。代わって期待された新大関の貴景勝も4日目の御嶽海戦で右ひざを痛め、全治3週間と診断されて翌日から休場。3日後に再出場したものの、たった1日でまたまた休場するという後味の悪さを見せた。
「頭一つ抜けていた目玉の2人がいなくなったのだから、あとはドングリの背比べ。案の定、一人横綱の鶴竜は頼りにならないし、盛り上げなくてはいけない豪栄道、高安の2大関も6日目の時点で揃って3勝3敗。中盤には、『トランプさんに見せる相撲がない』と協会関係者は慌てふためいていました」(担当記者)
これに拍車をかけたのが、審判委員の再三にわたる不手際だ。
その最たるものが13日目の栃ノ心対朝乃山戦で露呈した。
土俵際、栃ノ心のすくい投げが決まり、軍配も栃ノ心に上がったが、土俵際で回り込んだ時に栃ノ心のかかとが俵を割っていたのではと物言いがつき、6分あまりも土俵上でスッタモンダした揚げ句、朝乃山の勝ちにひっくり返ったのだ。
「あれはヒドい誤審でした。阿武松審判部長(元関脇益荒雄)は場内説明で何度ももたつくし、協会内には『審判部長失格』という声しきりです。朝乃山優勝の最大の功労者は阿武松部長ですよ」(協会関係者)
おかげで14日目には早々に優勝が決定。厳戒態勢の中、トランプ大統領がやってきた千秋楽は味噌の入っていない味噌汁みたいな、気の抜けた取り組みばかりとなった。
「相撲をよく知らないトランプ大統領だから笑顔で帰って行ったものの、これが相撲通のシラク元仏大統領だったら…」(同)
世が世なら八角理事長は切腹ものだった。