2人が戦うとなれば否応なしに期待が高まる。3年前の8・27両国大会で両者はベルトを懸けて激突。当時は立場が逆で近藤が王者に君臨し、カズが挑戦者として挑んだ一戦は、スピーディーかつ高度な切り返しの連続に。多くの選手や関係者がうなるほどの文句なしの名勝負の末、近藤がキングコングラリアットで勝利を手にしている。
当然、今回の選手権に対する周囲の期待値は高く、カズは「そうした空気がビンビン伝わってくる」という。ただ、注目されるほど闘志をかきたてられるのが性分とあって、「お客の期待を裏切らずに、それ以上の内容にしたい」と、自らハードルの設定を高くした。
もちろん、乗り越える自信はある。カズVS近藤は昨年2月の後楽園大会でも実現しており、東京愚連隊の乱入で無効試合に終わったものの、2人は互いの進歩を確認した。
「この試合に求められているものについて考えると、プロレスという文化の未来、全日本ジュニアのこれからを示す戦いになる」。同大会は武藤敬司のレスラー生活25周年記念大会であり、メーンにはそうそうたるメンバーがそろうが、カズはジュニアヘビー級による主役獲りを宣言。「それが武藤さんに対する最高のお祝い」と言う。
さらに、近藤と戦う上での最大のモチベーションは「ライバル心」であることを明かし、「それが僕の頭と体を動かす最大の原動力」とキッパリ。近藤はジュニアヘビーの規格を超えたパワーを誇るが、武器はそれだけではない。何パターンもの作戦プランを練る緻密さもあれば、臨機応変にプランを変更する大胆さもある。
「近藤は何をしでかすか分からない。必ず頭を使ってくる。その頭に負けないようにする」というカズ。近藤との頭脳戦を制して、プロレス界に新たな歴史の一ページを刻むつもりである。