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ペナントレース突入後に去就が決まる? 川上憲伸の辛いキャンプイン

 契約がまだ残っているのに、『招待選手』とは…。メジャー3年目、アトランタ・ブレーブスの川上憲伸投手(35)は、屈辱のキャンプインとなりそうだ。昨シーズン終了後、2A降格が命じられたが、フロリダ州レークブエナビスタでの行われるこの春のキャンプを、『招待選手』として扱われることになった。ブレーブスとの契約は今季終了までの「あと1年」が残されている。事実上の戦力外を通告されたと見ていいだろう。
 「ブレーブスは先発投手陣のレベルが高いですからね。ハドソン、ロー、ハンソン、ジャージェンスの4人は確実にローテーション入りするはず。先発枠5人の『残り1人』を数人の中堅、若手で争う図式になっていますが、36歳になる川上がこのなかに割って入るのはかなり厳しい」(メジャー中継関係者)
 昨季終了後の2A降格について、もっと詳しく言えば、こうだ。メジャー昇格が可能な40人枠からも外された−−。先発投手層のレベルが高いチーム事情から考えても、川上が再び40人枠を奪い返すのは並大抵ではない。

 米国人メディアの1人が、川上の立場をこう解説する。
 「日本球界にも精通している米国人代理人によれば、昨年オフ、川上の獲得を打診した日本球団がいくつかあったそうです。先発投手が不足しているメジャー球団も興味を持っていました。でも、川上の年俸は667万ドル(約5億4000万円)と高すぎます。ブレーブスのフランク・レンGMも川上を放出したがっていますが…」
 『川上獲得』の可能性を探った日本の球団名までは特定できなかったが、『招待選手』という立場についても、いろいろな見方がされている。まず、1つ目は「本当に、5人目の先発枠を争わせるつもり」という声。もう1つは、メジャー他球団への“見本市”的な意味合いである。
 「確かに、川上は昨季1勝しか挙げていません(18試合登板/うち16試合が先発)。防御率も5点台ですし、年齢的にも悲観的な見方をするマスメディアも少なくありません。しかし、彼は昨季の開幕9連敗中、『クオリティ・スタート』が6試合もありました。昨年オフのウインターミーティング中、『まだまだ戦力として働けるのではないか』と話す他球団の編成担当職員も実際にいましたから」(前出・米国人メディア)
 『クオリティ・スタート』とは、先発投手が6イニング以上を「自責点3以下」に抑えたことを指す。その『クオリティ・スタート』の多さが、「ブレーブス首脳陣が川上にも先発枠を争わせようとしている」という見方の根拠であり、同時に「他球団への見本市」なる噂も呼んでいるのである。

 「川上がキャンプ、オープン戦で活躍すれば、先発投手を欲しがっているメジャー球団は本気になって、川上獲得に向けて動き出します。2Aに降格させたベテランをメジャーキャンプに同行させた狙いは、そこにあると思います」(前出・同)
 繰り返しになるが、先発投手・川上の評価が高まったとしても、高額年俸がネックになる図式は変わらない。昨年オフ、メジャー数球団がトレードを持ち掛けたときもそうだったという。相手球団は「2011年分の年俸の半分を負担してほしい」とも申し出たが、ブレーブス側はそれを却下。まさに、高額年俸がトレードを破綻させたのである。
 「斉藤隆の2010年の年俸は320万ドルでした。同じく、松井秀喜の年俸は600万ドル。『クオリティ・スタート』の回数が多いとはいえ、川上が故障したときを考えると、躊躇ってしまう金額ですよね」(前出・メジャー中継関係者)
 また、日本球界に帰還する可能性だが、現時点では五分五分。実現したとしても、ペナントレース開幕には間に合いそうもない。
 「ブレーブスは川上のメジャー40人枠から外しているので、別選手をメジャー登録させるために川上を外す必要がなくなりました。川上が40人枠に残っていれば、ブレーブスが新しい選手を登録させる必要に迫られ、手っ取り早く日本に放出してしまう方法もあったんですが…」(前出・同)
 
 中日時代の恩師・星野仙一氏が楽天監督に就任した直後だった。川上は日本人メディアに質問され、「僕は知らないことになっていますから」と、意味シンなコメントも発していた。おそらく、川上の立場をもっとも心配していたのは、星野監督だろう。両者は何かしらの接点があり、川上は「楽天監督就任」の経緯も知らされていたものと思われる。
 しかし、楽天の現有スタッフを見渡す限り、「空席」が出そうなのは『先発』ではなく、『クローザータイプ』の投手だ。先発投手が手薄な日本の球団を挙げるとすれば、阪神、横浜、オリックス。ジオ、バリントンの両外国人投手が機能しなかった場合の広島だろう。
 「たとえば、シーズン途中の6月に川上を獲るとします。その時点でトレード(日本帰還のための移籍を含む)が成立すれば、667万ドルの開幕から6月までの2カ月余分はブレーブスが払うことになります。開幕戦以降、川上獲得を申し込んでくるチームが現れるかも。日本の球団も動くとすれば、やはり開幕後でしょう」(前出・同)
 いずれにせよ、川上にとってこんな屈辱的なシーズンは初めてだろう

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