ところで、今場所賜杯を手にした白鵬は、栃ノ心、鶴竜、御嶽海に続き今年4人目の優勝力士となっている。横綱陣がしばしば休場していたこともあり、優勝者がそれなりにバラけている印象もある2018年だが、その他の年はどのような内訳になっているのだろうか。平成最初の場所である1989年1月場所から、昨年までを対象に調べてみた。
対象範囲内において、最も多くの年が該当したのが「年間3人」。稀勢の里、白鵬、日馬富士が優勝した昨年を含め、これまでに11回記録されている。
以下、「年間4人」が8回、「年間2人」が6回、そして「年間5人」が2回で続いていく。その一方で、上記に含まれていない「年間1人」、「年間6人」に関しては、それぞれ1回ずつしか記録されていない大変珍しい記録となっている。
まず、「年間1人」から触れていくが、この記録が達成されたのは2005年。勘のいい人なら既にお気づきかもしれないが、今なお根強い人気を誇る朝青龍が年6場所を“完全制覇”した年だ。ちなみに、これは今回の対象期間に限らず、歴史上でも1回しかないとてつもない大記録でもある。
年6場所を全て異なる力士が制する「年間6人」が記録されたのは1991年のこと。1月場所で霧島が優勝すると、その後3月場所は北勝海、5月場所は旭富士、7月場所は琴富士、9月場所は琴錦、そして11月場所は小錦の手に賜杯が渡った。1991年は角界に一時代を築いた千代の富士が現役を引退した年でもあるのだが、こうした記録からもこの年が土俵の“転換期”だったということが伺えるだろう。
以上が、平成の大相撲における優勝力士の内訳である。今年も残すは11月場所のみとなったが、果たしてその結末は9回目の「年間4人」、3回目の「年間5人」のどちらとなるだろうか。
文 / 柴田雅人