高温多湿の気候は、人体にも様々な影響を及ぼします。その原因のひとつとなるのが、カビです。カビは目の届きにくい箇所に発生しやすく、いつの間にか増えてしまっていることがあります。
今回は、看護師の大木アンヌさんに、梅雨時期のカビの影響や対策をお聞きしました。
■カビの発生条件
「カビが発生しやすい温度は、だいたい20〜30度。湿度は70%ぐらいからです。まさに梅雨時期は繁殖しやすい条件となります。低温でも繁殖するので、冷蔵庫の中だから安心というわけにはいきません。やはり水まわりに発生しやすく、キッチンや浴室、洗面台などが多い。洗濯機やエアコンの内部も増えやすいので、こまめな掃除が必要です。靴も、雨などで濡れたまま靴箱に入れてしまうとカビ発生の要因となります」
■カビによる人体への影響
「カビに含まれる菌にはいくつかの種類があり、人体に害を与えるものも多くあります。白癬菌は水虫の原因となるカビの一種。プールや大浴場などで感染することが多いです。アスペルギルス菌は、エアコンの吹き出し口あたりに潜む菌で、吸い込むことでアレルギー症状を引き起こし、咳や発熱、呼吸不全などの症状をもたらします。アルテルナリア菌は台所や浴室などに多い菌で、喘息やアトピー性皮膚炎などの原因となります。特に夏に増えるのがトリコスポロン菌で、夏型過敏性肺炎を引き起こします」
■カビの予防策
「カビの発生を防ぐためには、まず部屋の通気性をよくすること。窓を開けて換気を促すことです。エアコンの除湿機能を使ったりするのも有効です。ただし、そのエアコン自体から菌が吹き出してしまうことがあるので注意が必要です。洗濯機内もカビが発生しやすいので、使っていないときは蓋を開けておいたり、洗濯物を入れたままにするなど心掛けるといいですね。梅雨時期の寝具は、晴れる日も少ないのでなかなか外に干すことができません。そういう時は、乾燥機を使ったり、ない場合は除湿シートなどを挟んでおくといいでしょう。また、扇風機をあてて乾燥を促すなどの方法も有効ですね」
この時期、急な痒みや咳などの症状を感じた時は、カビが原因である場合が多いです。また、湿気はダニの発生も促し、非常に健康を害しやすい環境となります。なるべく清潔さを維持して、健康な状態で夏を迎えたいですね。
【取材協力】大木アンヌ
ルーマニア人ハーフの看護師。家庭や恋人同士で使える簡単な医療の知識を少しでも伝えていくため、ライターとしても活動中。