妊活とは、夫婦で子作りに励むこと。そう聞くとなんだか明るく楽しそうなイメージですが、内容はそんな単純なものではないようです。
今回は、実体験をもとに書かれた『俺たち妊活部』の著者である、ライターの村橋ゴローさんに、妊活における男性の役割や心構えなどをお聞きしました。
■不妊治療における三段階のステップ
「性生活を行っているにも関わらず、2年間妊娠が成立しない状態を不妊症といいます。不妊治療には三つのステップがあり、第一段階がタイミング法。基礎体温をもとに排卵日を確認して性交渉を行います。次が、人工受精。自分で精液を採取し、それを人為的に子宮内に注入する方法。最後が、体外受精。卵子と精子を体外で受精させ、受精卵を子宮内に戻すという方法です。この流れで進んでいきますが、男性のできることは限られています。とにかく、女性の負担を軽くして、治療に取り組む環境を整えてあげることを心がけなくてはなりません」
■「タイミング法」は萎えないように
「“決め打ち”で性交渉を行うことに対して、抵抗を示す男性も多いようです。ですから、いざとなって萎えてしまわないよう準備することが大事です。あとは体調管理をしっかり行い、とにかく健康な精子を出す。そのためには、本番に向けて自慰行為を我慢して、精液を溜めておくなどの努力も必要ですね」
■「人工授精」は傍に付き添って
「人工授精では、採取した精子を冷やさないことが肝心。だから運ぶ際は、プラスチック容器を後生大事に扱いました。この段階で男性ができるのはここまで。あとは女性に任せて構わないのですが、僕はクリニックまで付き添っていました。あとから聞くと、そういった配慮が嬉しかったようです。人工授精と仰々しい字面はいかにも効果がありそうですが、実際の成功率は3%程度ととても低い。もし、通っているクリニックがただステップを踏ませるためだけに、人工授精やタイミング法を行っているようであれば、転院も考えるべき。不妊治療の最大の敵は時間です」
■「体外受精」は期待しすぎない
「体外受精の成功率は24%ほど。かなり高くなりますが、絶対ではありません。しかも、妊娠というゴールまでにはいくつもの合否ポイントが存在します。夫がガッカリすれば、妻はもっと辛い。だから男性は、常に平静に務めることです。あまり根を詰め過ぎると、心も体も持ちません。不妊治療は、夫婦二人の“共通の趣味”ぐらいに捉えて、余裕を持って取り組むのがいいと思います」
村橋さんは不妊治療を、「出口の見えない真っ暗なトンネルを進んでいるよう」だと言います。女性にかかる精神的、肉体的な負担は相当なもの。だから、“やめどき”を作ってあげることが大事だと。回数や期限を決めて、そこでいったん休息を入れてあげるなどのサポートが、男性の役割ではないかとのことです。
【取材協力】村橋ゴロー
1972年生まれ。東京都出身。芸人さんのインタビューや構成などを多く手がける超人気ライター。3年に及ぶ妊活奮闘記をまとめた、『俺たち妊活部!』が好評発売中。現在は育テツ(育児手伝い)として、男性サイドの育児の悩み相談等でも執筆中。