目はショボショボ、鼻ムズムズと、症状は様々ですが、止めどなく流れ出る鼻水にお悩みの方も多いかと。呼吸もしづらくなり、食べ物の味も感じなくなり、次第に嫌気がさしてくるのが鼻水です。
今回は、医師の小田切ヨシカズ先生に、鼻水の出る理由や役割についてお聞きしました。
■鼻水の成分とは?
「鼻水の成分は、鼻腔内の鼻腺から出る分泌液や、血管からの浸出液、大気中の物質などで出来ています。健康な人でも、1日にだいたい1〜1.5ℓほど出ますが、ほとんどは喉を通って胃へと流れていきます。鼻から外に出る量は、多くても200cc程度でしょう。ですから、鼻水が出すぎて脱水症状になるという心配はありません」
■鼻水は止めないほうがいい?
「鼻水にはいくつか役割があります。まず、鼻毛が大気中の異物の侵入を阻むフィルターの役割をしているのと同様に、鼻水も細菌やウイルスを体内に取り込まないようにする働きをしています。また、空気を吸い込む際に、そのままだと温度が低く体に負担がかかってしまうため、温度を上げて湿気を与えることで、負担を軽減する働きもしています。花粉症においても、鼻水が出るのは花粉を体外へと排出しようという作用によるもの。なので、鼻水を止めてしまうのはこの機能を停止させてしまうことになり、無理に止めるのはお勧めできない行為なのです」
■鼻水を止める方法
「鼻水は必要だから出ているのであって、止めることは改善を妨げていることになります。ですから、出し切るのが一番。とはいえ、人前に出たりする時など、どうしても見栄えが悪くなってしまうこともあります。そういう場合に用いられるのが、マスクにハッカ油をつける方法。吸い込むことで鼻がスーッとして通りやすくなります。また、小鼻の脇にある迎香(げいこう)というツボを指先で押したり、その少し上にある鼻通(びつう)というツボにも改善の効果があるとされています。ですが個人差があるので、いろいろ試して自分に合った対処法を見つけるといいでしょう」
鼻水を無理に止めてしまうと、改善を遅らせてしまうことになるようです。それに、あまりに鼻の中が乾燥しても、ドライノーズという症状になり、ウイルスの侵入や繁殖を促してしまうのだそう。鼻水はほどよく出ているぐらいが丁度いいのかもしれません。
【取材協力】小田切ヨシカズ
湘南育ちのサーファー医師。ワークライフバランス重視。現在、横浜の内科クリニックに勤務中。