ペットを飼う理由は人によって様々。関わりもとても深く、歴史も長いですが、いったいなぜ人はペットを飼うのでしょうか。
医師の小田切ヨシカズ先生に、ペットを飼うことによってもたらされる効果など、医学や生物学的な面からお話をお聞きしました。
■可愛らしさが赤ちゃんと共通する
「人間の赤ちゃんを見たとき、多くの人が可愛いと思います。こうした感情を湧き立たせる要因として見た目の可愛らしさが挙げられますが、同様の特徴をペットに見出すこともあります。人間の赤ちゃんの特徴として、体の割合に対して頭が大きく、目が丸く大きい。手足も短く全体的に丸っこいというのが挙げられます。これをベビーシェマと言います。人がベビーシェマを目にすると、心に『放っておけない』『守ってあげたい』といった感情が芽生えます。ペットを飼う理由として、このベビーシェマも要因のひとつとして挙げられるでしょう」
■ペットがリラックス効果をもたらす
「動物にはグルーミングという行動があります。お互いに毛づくろいしたり、ノミ取りをしたりする行為ですが、これにはリラックス効果も含まれていると言います。撫でることで血流が促されるという効果によるところもありますが、緊張がほぐれることで、セロトニンやオキシトシンといったホルモンが分泌し、リラックス効果が促されます。これは、受けている側にも行っている側にも効果があり、人間がペットを撫でることで癒しを与えてもらっているということに繋がってきます」
■アンチエイジング効果も!
「ある研究によると、『犬を飼っている人の精神的な幸福度は、飼っていない人よりも高い』という結果が出ています。また別の研究では、『犬を飼っている65歳以上の人は、犬を飼っていない人に比べて運動量が多く、肉体的にも10歳近く若い』という結果も。やはり、犬を飼うと散歩がどうしても必要になり、必然的に運動量も増えます。他のペットでも、世話などの面で体を動かす機会も増えるでしょう。そこにリラックス効果なども加わって、アンチエイジング効果が促進され、老化防止に繋がります」
心に余裕がなく時間もないと思っている方でも、ペットを飼うことで逆にゆとりを持つことができたという方。奥様や旦那様に先立たれてしまい悲しみにくれていたところで、ペットを飼うことで生きがいを見出したという方もいるそうです。
ペットを飼うことには様々な意味があります。得られる効果は本当に大きい。時に“家族の一員”と表現されますが、それも頷けるところですね。
【取材協力】小田切ヨシカズ
湘南育ちのサーファー医師。ワークライフバランス重視の36歳。現在、横浜の内科クリニックに勤務中。