でも、気温が高くなると気を付けなければならないのが食中毒です。食材も傷みやすく、しっかり火を通さないと体に害を及ぼす可能性があります。
今回は、看護師の大木アンヌさんに、食中毒の危険性と予防策などをお聞きしました。
■暑い時期に増えるのは細菌性食中毒
「食中毒とは、食べたものによって嘔吐や発熱、下痢や腹痛などの症状に見舞われること。場合によっては二次感染を引き起こして被害が拡大したり、症状が酷ければ死に至るケースもあります。食中毒は主な原因によって3つのタイプに分けられます。細菌によるものとウイルスによるもの、それとフグやキノコなどの毒によって起こるものです。このうち、これから暑くなる時期に増えるのが、細菌性ものです。冬場はウイルス性のタイプが流行りやすくなります」
■潜伏期間に注意
「夏に細菌性の食中毒が増えるのは、気温が高く、梅雨時期などの湿度により、細菌が増殖しやすい環境となるからです。主な菌として挙げられるのが、生焼けの肉などに多い、カンピロバクター。弁当類からの感染が多い、ブドウ球菌。生卵や肉に多い、サルモネラ菌など。気を付けなければならないのは、それぞれ潜伏期間が違うことです。食後すぐに発症するわけではありません。カンピロバクターなどは、潜伏期間が2〜7日間ほどあります。食べたあとに問題なかったからといって安心はできないんですね」
■食中毒予防の三原則
「食中毒の原因となる細菌は、肉眼では確認できず、においもないので判別は困難。ですから、予防をしっかり行うことが大事です。その際に重要とされる三原則が『付けない』『増やさない』『殺菌する』です。食材や設備を清潔に保って菌を付けない。食材は冷蔵庫で保存して菌を増やさない。十分に火を通して菌を死滅させる。などを行うことが、最大の予防策になります。もちろん、食材を扱う自分の手もしっかり洗って、清潔な状態で調理してください」
暑い時期はどの食材も食中毒の危険性大。火を通しても安心はできません。生ものは、特に注意が必要です。できるだけ控えて、食べものの美味しく感じる季節まで待ったほうがいいかもしれませんね。
【取材協力】大木アンヌ
ルーマニア人ハーフの看護師。家庭や恋人同士で使える簡単な医療の知識を少しでも伝えていくため、ライターとしても活動中。