2008年9月14日筆者の携帯がけたたましく鳴った。千葉県市川市に居住する筆者の身内宅の郵便ポストに河童らしき怪しい手形がついたというのだ。
翌日、弊社の社員たちと現場に急行し、現地調査を行った。確かに四ケ所の奇妙な手形が確認できたのだが、五本指の間に水掻きらしき痕跡が見てとれる。
「まるで、河童じゃないか」
その場にいた全員がそう言って苦笑した。不思議なことだが爪の跡がない。では狸や犬猫ではなく、猿なのか。いや猿には水掻きはないし、船橋や市川に野生の猿が生息しているとは思えない。少々困ってしまったのだが、結論として
『有力容疑者はハクビシンだ!!』
ということになった。ハクビシンは、最近首都圏で繁殖しており、木登りが得意で民家の天井裏に入り込んだりしている。市川市でも目撃が相次いでおり、指は五本指であり、水掻きらしき膜もある。民家の郵便ポストに手形をつけるなど朝飯前なのだ。
古来の人々は、このような野生生物の手形を見て河童伝説を作っていったのであろう。妖怪伝説の成立過程が伺える貴重な例である。
(山口敏太郎)