昔ながらの「こっくりさん」のように、儀式を行う事で質問に答えてくれたり、アドバイスをしてくれるものもあるが、この手の儀式は大抵祟られたりするなどとんでもないしっぺ返しを抱えているものだったりもする。
これはかつて筆者が運営していたサイト妖怪王の愛読者Hさんが教えてくれた話である。
「血女房って知ってますか。幸運の女神さまらしいですよ」
「なんですか、何かの宗教?」
筆者が不審そうな顔で聞き返すと、Hさんは嬉しそうに答えた。
「やだな〜宗教じゃないですよ。民間に伝わる呪術ですよ」
最初は、Hさんが茨城の某お宅で拝見したのだと言う。
「壷があるのですよ。その壷に中に血女房がいるのです」
「いる?」
「うふふっ、いると言っても生き物ではありません。人形です」
「人形、ヒトガタ?」
「なんかそうみたいですよ。内部に赤い塗料が入っている人形でね。その人形に憎い相手の名前を書いて包丁で突きまくるのです」
「随分と物騒な話だな」
「何度も何度も突くのです」
「……」
「力いっぱい、突くのです」
「やめてよ、もういいよ」
「すると壷の中は赤の塗料が飛び散って、血だらけのような状態になります。これで血女房が完成です。この呪いを行うと血女房が相手に付きまとい…」
「まるで式神だ」
「最後は相手を殺すらしいですよ」
…いかがだろうか。
人形を包丁で刺す、というくだりは「ひとりかくれんぼ」の中にあるくだりが思い出される。ただし、ひとりかくれんぼよりも血女房の方が情報としては古い。
いずれにせよ、人形を痛めつけるという行為は「丑の刻参り」然り、何らかの呪術的要素を伺わせるものだ。
人を呪わば穴二つ、この「血女房」も願いを叶えた後で何らかの手痛いしっぺ返しがやってくるものなのではないだろうか。
監修:山口敏太郎事務所