このようなダートから芝、または芝からダートに路線変更してきた馬の適性については、なかなか分からないもの。それこそ『走ってみなければ』というところですが、パドック(下見所)でよく観察しているとヒントは少なからずあります。
走法や体形ももちろんですが、一番重要なのは、【繋(つなぎ)】の角度と長さです。サラブレッドが走る時には肩端、前膝、球節、繋、筋肉、腱等と蹄機作用が複合しあい、反動をやわらげ、スピードや体重の衝撃を緩和しています。この時、主要な役割を担うのが繋です。
繋は球節(前膝の下の丸くなっている所)と蹄球をつなぐ斜めになった部分のこと。約35〜45度の角度で、長すぎず短すぎない繋を持った馬が、芝に適しています。ダートに適した繋は少し立ち気味で短めです。繋が寝すぎていたり、長すぎる馬は芝、ダートとも敬遠した方がいいと思います。
肢勢についていうと、胸前がせまく、外向蹄(着地した時に蹄が外側を向いている)の馬はスピードが出ます。
余談ですが、前膝と球節の間に管骨があります。この裏側に屈腱が走っています。パドックで、この屈腱と球節、繋、蹄球がはっきり分かれて、すっきり見える馬がベストです。馬の疲れは繋や蹄球にたまりやすく、この部分がモヤッと腫れぼったい馬は馬券の対象外です。夏負けや仕上がりの悪い馬も同様に見えます。