いまさら欧米ではフライトアテンダントやスチュアーデスなどに憧れる女子は皆無だが、アジアではいまだに人気の職業だし、男性には特別な視線を向けられるのは快感な身分。
しかしそんな地位の維持と優位意識も契約終了という形であっけなく砕け散った。この不景気の中、航空業界で新たな職を見つけるのは至極困難、しかし生活のためには何かしないと。
そこで、女子大生時代にバイトしたことのあるキャバ嬢として暫く働いてみることにした。しかし、まず水商売に戻ってみて気付いたのは、自分がかなり歳をくっている事。
いくら表面を装っていても、同僚の女の子たちのハナシについていけない。おまけに、少なからずエリート意識もみんなとの疎外感を大きくさせていく。
それにお客ときたら、酔っ払いの上どさくさに紛れてオッパイやお尻を触りたがる輩ばかり。『あ〜あ、もう嫌、ガマンの限界、次の給料日で辞めてやる』と何回か思ったが、やっぱり背に腹は変えられない。そして、こう考えればもっと気が楽になるのではないかと、フライト勤務時代を思い出すように努力し始めた。
日ごろアテンダントたちはエコノミークラスを“ズー(動物園)”と呼んでいる。
そう、ここの人たち全員も何かしら動物なのだ、と。カバ、メガネサル、アリクイ、ハイエナ、ワニ、スカンク…ただし、優美な動物なんていやしないけど。でも本当の動物園と違うことって、それはむこうから餌を運んできてくれること。
今日も常連のラッコ君が、「お誕生日プレゼント、何が欲しい?」って、下心見え見え。『そりゃ、ブランドバッグはもらうけどさ、私のビーバーには指一本触らせないわよ』と、優美はもうすっかり一人前です。
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