『NJPWプレゼンツCMLLファンタスティカマニア2019』
▽21日 東京・後楽園ホール 観衆 1,582人(札止め)
新日本プロレスの棚橋弘至が主演を務めた映画『パパはわるものチャンピオン』を記念したスペシャルタッグマッチが21日、後楽園ホール大会で行われた。
棚橋はかつてライオンプロレスのエースだったが、膝の怪我により悪のマスクマン、ゴキブリマスクとなる役柄。田口隆祐演じるギンバエマスクとヒールタッグを結成した。一方、ライオンプロレスのチャンピオンで人気選手のドラゴンジョージはオカダ・カズチカが、『G1クライマックス』をモチーフにしたトーナメントに出場していたスイートゴリラ丸山を真壁刀義がそれぞれ演じた。
今回のスペシャルタッグマッチでは、ジョージ&丸山 対 ゴキブリ&ギンバエがライオンプロレス提供マッチとして実現した。現在、新日本本隊とCHAOSが対バレットクラブで休戦状態にあることから、実現できた夢のカードである。
「ゴキブリ帰れ!」
先に映画と同じくアルミのバケツに詰め込んだ凶器を持参し、ゴキブリとギンバエが入場すると、場内は大ブーイングに包まれ、「ゴキブリ帰れ!」の大合唱。続いて現れたジョージ&丸山には黄色い歓声が飛んだ。ジョージはリング中央で、人差し指を立てる決めポーズを決めてみせる。腰にはライオンプロレスのチャンピオンベルトが巻かれていた。コアなファンが集まる後楽園が会場だったこともあり、観客の8〜9割は映画を鑑賞していたもよう。試合は、映画で繰り広げられた試合よりもファンの熱量を感じる好勝負になった。
特にゴキブリはヒールファイトに徹しており、ギンバエのコミカルヒールともスイングしていた。またジョージもスーパーベビーフェイスとして、“久々に”輝いて見えたのが印象的だった。丸山とのタッグもスムーズ。ゴキブリ&ギンバエの殺虫剤攻撃や、凶器攻撃に苦しんだ場面があったものの、最後はジョージがギンバエにレイン…いやドラゴンメーカーを決めて、ジョージ&丸山が新日本マットデビュー戦を勝利で飾った。ジョージと丸山はポーズを決めてから退場。ギンバエは若手に抱えられながら退場、ゴキブリは若手に凶器をバケツに入れさせると、それを抱えながら退場した。
先にインタビュールームに現れ「ジョージ!ジョージ!」と叫びながら長椅子に寝転んだギンバエだったが、ここでIWGPジュニアヘビー級王者の石森太二が現れギンバエに殺虫剤攻撃。するとマスクを剥ぎ取り、次期挑戦者であるギンバエ…いや田口隆祐を挑発した。
石森が去った後、ゴキブリが現れ「ギンバエ!大丈夫か?」と声をかけると、素顔のギンバエは「やられたあ」と力なく言葉を発するのが精一杯。ゴキブリは「いいか!よく聞けよ!ゴキブリはな、しぶてぇぞ!何度だって戻ってくるからな!」と“続編”を示唆。一方の丸山も「これ、続きあるかもしれねぇぞ」再来を匂わせ、ジョージも「新日本プロレスには素晴らしい選手がたくさんいる。オカダ・カズチカ選手と対戦したい」と再登場も否定しなかった。
映画『パパはわるものチャンピオン』は3月6日に映像化が決定しており、1000件を超えたという同映画のプロモーションをこの時期に再び行うことが決定している。3月6日は新日本プロレスの旗揚げ記念日。旗揚げの地、大田区総合体育館での記念大会開催が今年も決定している。「後楽園以外の会場でどこまで響くか」という課題はあるかもしれないが、ゴキブリマスク、ギンバエマスク、そしてドラゴンジョージを1回で終わらせてしまうのはもったいないと思わせるような試合だっただけに、新日本マットでの続編に期待したい。
取材・文・写真 / どら増田