前日の対国士館戦に先発した同投手は延長10回を投げ、被安打4、失点2、奪三振数7。「5回以降、右手中指に血マメをできていた」なる学校側の発表もあったが、同代表を満足させる結果となったようである。この日、日米16球団が視察に訪れていたという。今さらではあるが、沢村投手に関しては「将来性は斎藤(佑樹)以上」なる声も聞かれる。
「今年は(早大の)大石(達也)、斎藤、もちろん、関西にもいい選手が多い。(スカウト会議は)かなりの議論になるから、いい投手は見ておかないと…」(同代表談)
巨人の『本命』はハンカチ王子ではなかったのか? 清武代表も言うように今秋のドラフト候補生のなかには『即戦力投手』の逸材もかなり多く、斎藤1人に指名(入札)が集中することは考えにくい。
在京球団スカウトの1人がこう予想する。
「今年は即戦力投手の『当たり年』ですよ。申し合わせて、12球団が1人ずつ指名することも可能だし(笑)。ただ、将来はチームを背負って立つエース候補の逸材は数人です。入札で外れても、即戦力投手が残っているとなれば、その数人に指名が集中する可能性も捨てきれません」
スカウトマンにとっては、「外れ1位候補の力量」を見抜く眼力が問われる1年になりそうだ。巨人が初志貫徹でハンカチ王子を指名するのか、中大・沢村に乗り換えまのか、それとも、未完の高校生・一二三慎太投手(東海大相模)に行くのかは、まだ分からない。しかし、こんな情報もキャッチした。「巨人の関西、近畿圏のスカウトの動きが怪しい」−−。
「どうも、高校生を見ているみたいだね。アッと驚くような隠し玉がいるのか、それとも…」(球界関係者)
情報社会の今、他球団も知らない「無名の逸材の出現」は考えにくい。他球団の評価は「3位指名以下」でも、巨人が好むような選手がいたということではないだろうか。ライバル球団はそう予想している。一説によれば、今春のセンバツ大会で21世紀枠出場を果たした向陽高校・藤田文也投手だという話もある。藤田投手は直球の最速数値こそ130キロ台半ばだが、多彩な変化球を繰り出し、コントロールの良さでは一目置かれていた。
「身長173センチ。アスリートとしては小柄ですが、好不調に関係なく、『2失点程度』で投げきる力は持っています」(前出・同)
圧倒的なウィニングショットはないが、安定感を持った高校生投手のようである。往年の堀内恒夫、桑田真澄に近いタイプではないだろうか。“隠し玉”を単独指名するため、はたまた、他球団の関心を背けるため、清武代表は自ら沢村視察に訪れたのかもしれない。即戦力投手の当たり年なだけに、この先、藤田投手以外にも“外れ1位候補”の名前が出てきそうである。(一部継承略)