この映画で、棚橋はプロレスラー・大村孝志役を演じる。人気も実力も兼ね備えたエースレスラーだったが、膝に大ケガを負って試合から長期離脱してしまう。それから10 年、かつての強さを取り戻せないでいる孝志は悪役レスラーとなり、客席からブーイングを浴びる日々を送っている。妻の詩織(木村佳乃)は変わらず応援してくれるが、孝志は自分の仕事を9歳の息子・祥太(寺田心)に打ち明けられずにいた。
だがある日、偶然祥太に“正体”を知られ、「悪者のパパなんて大嫌いだ」と言われてしまう。しかし孝志に、名誉を取り戻すチャンスが訪れる。かつて、孝志に憧れていたトップレスラーのドラゴンが、孝志をタイトルマッチの相手に指名したのだ。自らのプライドと家族への愛のために、全く勝ち目のない戦いに立ち上がる孝志。果たして、孝志が決意したすべてを懸けた危険な技とは?そして息子との絆を取り戻すことはできるのか?関係者によると「『大事なのは勝つことだけじゃない』と訴えかける作品」に仕上がっているという。
棚橋が主演を務める他、木村佳乃、寺田心、仲里依紗、大谷亮平、寺脇康文の他、大泉洋も特別出演するなど共演者も超豪華。新日本からもオカダ・カズチカ、内藤哲也、真壁刀義、天山広吉、小島聡、永田裕志、中西学、田口隆祐、KUSHIDA、パレッタ、後藤洋央紀、石井智宏、矢野通、YOSHI-HASHI、高橋ヒロムが出演する予定。どんな登場の仕方をするのか注目だ。
原作は「パパのしごとはわるものです」「パパはわるものチャンピオン」(ともに岩崎書店)の2作。板橋雅弘作、絵は吉田尚令が描いている。監督と脚本は35歳の藤村享平氏が務めている。
棚橋は『G1クライマックス28』の最中も移動日に初主演映画の「全力プロモーション」を積極的に展開している。棚橋の夢は「街に現れたら人だかりができて動けなくなるぐらいの存在になること」「プロレスをもっと広めること」。棚橋にとって今回の映画はその布石を打つチャンスだ。
フジテレビ系の『僕らの時代』では先輩の長州力、天龍源一郎と語り合ったり、地上波のバラエティー番組や雑誌など、メディアへの露出が続いている。関係者によると「映画公開後もしばらくメディア露出は続く」そうだ。また『パパはわるものチャンピオン』は『いきなりステーキ』や『安楽亭』ともコラボレーションしており、店内には棚橋のポスターが張られている。
今回の舞台挨拶も試合の前日に行うというハードスケジュール。23日に神戸ワールド記念ホールで、オカダを相手にIWGPヘビー級王座挑戦権利証の挑戦を受けるのだ。棚橋の活躍が映画のヒットとリンクするのは言うまでもないが、夢を叶えるためにも来年の1.4東京ドーム大会までは負けられない。映画主演で露出が強化されたことで、世間からの棚橋弘至の知名度は爆上げ中。風はやはり棚橋に吹いているようだ。
取材・文 / どら増田
写真 / ©︎2018「パパはわるものチャンピオン」実行委員会