今季のイチローは150試合出場、520打数136安打、7本塁打、35打点、20盗塁、打率.262で、打席数(555)、安打数、打点、盗塁数はMLB通算13年で、自身ワーストの成績に終わっている。
メジャー1年目から10年連続で続けて打っていた3割も、11年以降3年連続で切っており、もはや、これ以上の“伸びしろ”があるとは考えにくい。
ヤンキースの今季の外野陣は、イチロー、ブレット・ガードナー(30)、カーティス・グランダーソン(32)、バーノン・ウェルズ(35)の4人に加え、7月末にはアルフォンソ・ソリアーノ(37)が加入。ソリアーノが入ってから、イチローは出場機会が激減し、控えに回ることが多くなっていた。
このオフ、11、12年に2年連続40本塁打をマークしたグランダーソンは、FAでメッツへの移籍が決まった。その代わり、ヤンキースはレッドソックスからFAで、ジャコビー・エルズベリー外野手(30)と7年総額1億5300万ドル(約157億8700万円)の大型契約で合意。さらに、カージナルスからFAになっていたカルロス・ベルトラン外野手(36)とも、3年総額4500万ドル(約46億4200万円)で合意した。
エルズベリーは今季、「1番・中堅手」で打率.298、9本塁打、53打点、52盗塁をマークし、3度目の盗塁王を獲得しており、まさに俊足巧打のイチロータイプの選手。
一方、ベルトランは打率・296、24本塁打、84打点で、メジャー通算358本と強打の外野手で、流出したグランダーソンの穴を埋めることになりそうだ。
これで、ヤンキースのレギュラークラスの外野陣は6人となり、イチローは5番手。来季の布陣は左翼がガードナー、中堅がエルズベリー、ソリアーノとベルトランは右翼と指名打者の併用とみられており、5番手のイチローは構想外となり、トレード要員として浮上している。
ただ、トレード市場で人気があるのは、イチローより若いガードナーだという。ネックとなっているのは、40歳の年齢と650万ドル(約6億7100万円)の年俸だ。イチローに食指を動かしている球団もあるようだが、いずれも、レギュラー確約とはいえず、若手との併用プラン。そうなると、レギュラーではない選手に650万ドルは高額で、トレードを成立させるとなると、ヤンキースが一部年俸を肩代わりすることも必要になってこよう。
現在、日米通算4020安打のイチロー。ピート・ローズのMLB通算最多安打記録(4256本)まで、あと236本に迫っている。イチロー自身にとっても、控え確定のヤンキースに残るより、出場機会が得られる他球団に移籍した方が望ましいだろう。
(落合一郎)