昨年の契約更改の際に、球団へメジャーでプレーしたいと伝えていた筒香。早くて21年に海外FAを取得するが、これにより2年早く夢舞台へ羽ばたくことが可能となった。
ここで問題となるのは、キャプテンであり主砲でもある絶対的な存在の穴をどうやって埋めるのか、である。この先のドラフトや補強で当然変更はあるが、現有戦力では以下のようになろう。
今シーズン2冠王のネフタリ・ソトは、余計に欠かせぬ存在となることが予想され、ソトの守備位置がセカンドになるか、ライトになるかで外野の枠が変わってくる。仮に二遊間のどちらかを、終盤戦から打撃が上向いた柴田竜拓と、大和、そして大型内野手・伊藤裕季也らで固められるとなると、外野は2枠となる。
今シーズンは不動のサード・宮崎敏郎が骨折により戦線離脱した際に、ホットコーナーを守り、打順も2番で出場していた筒香。その際に筒香本来のレフトを守ったメンバーは、当然候補に入ってくる。
まずは2016年ドラフト9位の佐野恵太。得点圏打率.367と抜群の勝負強さを誇る左の長距離砲は、打率も.295と成長を見せた。同じく2016年ドラフト組で、高卒3年目の細川成也は、横浜スタジアムの照明灯に設置されているスピーカーに当てるほどのパワーの持ち主。ロマンならチーム随一であろう。
センターも守れる外野手は、CSで存在感を見せつけた2年目の神里和毅。機動力の無いチームにおいて、その俊足は大きな武器だ。CS2戦目のサヨナラホームランが記憶に新しい乙坂智も候補になる。地元横浜高校出身で、筒香も可愛がっていた直属の後輩だけに、本人のモチベーションも高いだろう。若いチームにおいてベテランの域に入ってくる、梶谷隆幸も黙ってはいない。かつてはトリプルスリーに一番近い男と言われた韋駄天が、昨年の手術から完全復活すれば、一気にポジションを奪取する可能性は高い。
その他、今年のオープン戦の首位打者で、交流戦のライオンズ戦で逆転満塁ホームランを放った楠本泰史もポテンシャルは高く、復活を誓うガッツマン・桑原将志や、もはやファームではやることがない関根大気などが候補となる。
それよりも気になるのは、筒香のキャプテンシーを失うことだ。CSの試合前ミーティングでも「緊張感を楽しもう」と、若いチームを鼓舞し、どんな時も一言目には「チームのために」と口にした。言葉と背中でチームを引っ張ってきた精神的支柱だった存在を失う来季、誰がキャプテンの座を引き継ぎチームのまとめ役になるのか。ある意味そちらの面が、重要なポイントなのかも知れない。
写真・取材・文 / 萩原孝弘