「私は、指定された商品を、工場の中から探して集めるという仕事をしています。従業員は私以外に何人もいて、とにかく素早く動くことが求められます。その様子は常に現場リーダーである上司に監視されており、少しでも遅れると罵声が飛んでくるのです。なので、足を止めることができないのですが、私と同じ時期に入った同僚のA子は、どこかのんびりとした性格で、作業も遅く、いつも上司から怒鳴られていました」
そんなA子よりは、素早く作業ができたという真奈美さん。しかしある時から、A子がまったく上司に怒られなくなったという。
「A子の作業能力が上がったわけではないんです。彼女はいつもと変わらず、ゆっくりしているのに、どうして“えこひいき”されているのだろうと疑問に思いました。そんなある日、休憩中に2人が同時に席を立ったので、後をつけてみたんです。すると2人は、別棟の従業員がほとんど使わないトイレの個室に、一緒に入って行きました。それを目撃した時は、ドン引きしましたね。おそらく2人は、いつの間にか男女の関係になっていて、それでA子は怒られなくなったのだと思います」
最初の頃は、A子とも会話していたという真奈美さんだが、今は一定の距離を置いているという。
写真・okreitz