IWGPヘビー級王者の永田は現状に危惧している。この日の広島大会では本隊きっての名コンビ“第3世代タッグ”として中西学と組み、王者トムコ&バーナードと激突するも、チャンスを生かせずじまい。結局、自ら3カウントを献上して無念の敗北。最強外国人タッグから至宝を奪還することはできなかった。
さらには、試合後には勝った現王者チームがIWGPタッグを海外で防衛するプランをほのめかしたことで、至宝流出の危機という非常事態にも突入してしまった。試合後は無言のまま会場を後にした永田だったが、もちろんこのままでは済まさない腹積もりだ。
大会後に永田は複雑な胸中を激白した。「もちろん1度負けただけでこのまま黙っているわけにはいかない。このままじゃ外人に乗っ取られちまう…」。次期シリーズのG1タッグで借りは返すつもり。ただ、永田が危惧しているのはIWGPタッグに限った話ではない。G1期間中に結成されたレジェンドが今シリーズで攻勢を強め、いまや新日プロを牛耳るほどになっていることにも疑念を抱いている。
永田が真顔で言う。「いま永田町も大変だけど新日本も大事な政局を迎えている」。そう切り出すと「オレ個人としては密室政治って良くねーと思うんだわ」と、暗にこのほど会社で緊急ミーティングを開いたレジェンドを皮肉ってみせる。
続けざまに「オレはIWGPのチャンピオンなんだからいわば総裁みたいなもん。ここでオレが新日本の改革を止めちゃいけない。だからシングルでは永田政権を渡すことはない」とピシャリ。“永田的構造改革”を断行することを誓った。
10・8両国国技館大会で行われる棚橋弘至との防衛戦を前に暗雲が立ち込めた永田だが、政権奪取のためにもシングル防衛の使命に揺るぎはない。