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【雅道のサブカル見聞録】なんで今さら? 『いばらの王 』が映画化

 角川映画配給、サンライズ制作のアニメーション映画5『いばらの王 -King of Thorn-』が5月1日に公開されるが、この原作である『いばらの王』は既に2005年11月に連載が終わっている。5年以上も経ての映画化に今さら感がぬぐえない。

 企画自体は06年からあったが、当時の技術では映像化が難しいといわれ長く日の目を見なかった本作。が、そもそも掲載誌の『コミックビーム』(エンターブレイン刊)はそれほどメジャーな雑誌と言い難く「いばらの王って何?」と思う人が大多数であろう。そういう訳でますます謎の多い映画化なのだが、これにはどうやら昨今の映画事情が影響しているようだ。今、ハリウッド映画は『アバター』や『アリス・イン・ワンダーランド』などのヒットにより空前の3D映画ブームである。噂ではあるが、この『いばらの王 -King of Thorn-』はハリウッドでの実写化を見据えての映画化だという話があるのだ。

 『いばらの王』のあらすじを大まかに言うと、舞台は近未来、致死率100%の奇病「メドゥーサ」の治療法を未来に求めて、スコットランドの古城を改造したコールドスリープ施設で冷凍冬眠していた主人公カスミたちが、突如目覚め、いばらと怪物に支配された施設から逃げるという脱出アクション。3D栄えする怪物の数々、派手な爆発、近未来的な設備とそれにミスマッチな古城など、実に今の3D映画向きの要素ばかりである。

 こまかな設定や仕掛けをいうとこの作品はきりがないのだが、先行配信された冒頭12分の映像を見ると、海外の意識した原作改変が行われているような印象を受ける。それに加え、最近のアニメ映画主流の公開館を首都圏に絞った配給方法ではなく、一応全国配給となっている。最近の角川映画のアニメ戦略を鑑みるに、ハリウッドの映画化による版権収入を期待しているのではなかろうかと思わずにはいられない。(斎藤雅道)

写真=東京国際アニメフェア2010にて

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