『菊と刀』は日本でも非常に評価の高い著作ではあるが、しかしながら「菊」も「刀」も日本の支配者層の象徴であって、庶民の目線ではないことに若干違和感を感じるのも確かだ。
その違和感を埋めてくれるのは、本居宣長の考えた日本観ではないだろうか。彼は生涯の研究を通じて、日本観(やまとごごろ)はズバリ、「もののあわれ」だと結論づけた。
なるほど、「菊と刀」より「もののあわれ」の方が確かにしっくりくるではないか。
もう一つ突っ込むなら、何が一番の大和心(もののあわれ)なのかという事。本居宣長は野生の「山桜」だという。宣長が生きていたら、最近の品種改良されて植林されたソメイヨシノは邪道(?)ということになるのだろうか?
今は桜の季節。もし野生の山桜を見る機会があったら、じっと鑑賞してみるのも一つの精神的な贅沢では? 気づいた方は是非お試しあれ。
敷島の 大和心を 人問わば 朝日に匂う 山桜花(本居宣長)
この有名な句に、宣長の思いは込められている。
(みんみん須藤)