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「歴史楽屋噺」パート8・菊と刀と山桜

 アメリカの文化人類学者、ルース・ベネディクトが『菊と刀』を著して、西洋に日本文化を知らしめたのは1946年だったが、彼女が一度も来日した事がないという事実には驚かされる。文献や資料をもとに書いたのだと思うが、それにしても鋭い考察には驚愕するばかりだ。日本の教科書にもしばしば取り上げられている。

 『菊と刀』は日本でも非常に評価の高い著作ではあるが、しかしながら「菊」も「刀」も日本の支配者層の象徴であって、庶民の目線ではないことに若干違和感を感じるのも確かだ。

 その違和感を埋めてくれるのは、本居宣長の考えた日本観ではないだろうか。彼は生涯の研究を通じて、日本観(やまとごごろ)はズバリ、「もののあわれ」だと結論づけた。

 なるほど、「菊と刀」より「もののあわれ」の方が確かにしっくりくるではないか。

 もう一つ突っ込むなら、何が一番の大和心(もののあわれ)なのかという事。本居宣長は野生の「山桜」だという。宣長が生きていたら、最近の品種改良されて植林されたソメイヨシノは邪道(?)ということになるのだろうか?

 今は桜の季節。もし野生の山桜を見る機会があったら、じっと鑑賞してみるのも一つの精神的な贅沢では? 気づいた方は是非お試しあれ。

 敷島の 大和心を 人問わば 朝日に匂う 山桜花(本居宣長)

 この有名な句に、宣長の思いは込められている。
(みんみん須藤)

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