男性は昨年8月、生放送で、靖国神社落書き事件のニュースを読み上げた際、「尖閣諸島は古来から中国の領土」と発言。「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」と述べるなどした。男性は発言の2日後に契約を解除。稲葉延雄会長らは報酬の一部を返納し、総務省はNHKに注意の行政指導をした。
発言はニュース原稿にはないもので、NHKは「放送業務を妨害され、公共放送機関としての信頼を著しく低下させた」と主張し、東京地裁に提訴していた。
東京地裁は、男性の発言が「NHKの国際放送業務を妨害し、信用を毀損(きそん)した」として訴えを認め、男性に1100万円の支払いを命じる判決を言い渡した。判決を受けて、NHKは「主張が認められたと評価したい」とコメントしている。
なお、NHKは再発防止のため、ラジオの中国語ニュースのすべてを、人工知能(AI)音声による読み上げに切り替えている。
ネット上では、「払わず逃げそう」「すでに中国へ帰ってしまったのに、どうやって履行するんだよ」「日本の公共放送を乗っ取ったのに賠償だけ?」といった意見が上がった。
NHKは国民から受信料を受け取って成り立っている公共放送だ。中国語ニュースに限らず、個人の思想を垂れ流すような事態は二度とあってはならないだろう。信用を回復するためにも、再発防止策を徹底してほしい。