逮捕されたのは大阪のパート従業員、縄田佳純容疑者(34)だ。
警察によると、5年前の2018年以降、娘は同じような症状で40回余り入院し、入院に伴う共済金や保険金合わせておよそ570万円をだまし取っていた。
娘の病名は「ケトン性低血糖症」、なんでもケトン性低血糖症は幼児期に多くみられ、過度の長時間の絶食により、けいれんや嘔吐(おうと)。頭痛などの症状が出て、最悪の場合死亡することもあるという。
縄田容疑者は、娘が入院しているときでもショートメッセージで、ごはんを食べないよう指示していた。さらに娘に対して「けいさつにゆっとくわ うそつきやからもうそだてられませんって」と、言う事を聞かないと「捨てるぞ」という意味の脅迫めいたメッセージまで送っている。
8歳くらいの子どもにとって、親は絶対的な寄る辺で、子どもにとってもっとも恐ろしいのは「親に捨てられる」ことだ。それは1人で生きて行けない子どもにとって、自分の死を意味することだからだ。
また、縄田容疑者は、一般的な8歳児の摂取カロリーが1日1800キロカロリーなのに、入院前の娘には3日間で700キロカロリーしか与えていなかった。
一方の縄田容疑者自身はだまし取った金で、交際相手を旅行に誘い、エステに通い、友人と外食を楽しんでいたことがわかっている。つまり遊ぶ金ほしさに、我が子を虐待していたのだ。
さらに娘の聞き取りでは「小学2年生の頃から、ママからピンク色の変な薬を飲まされる。その薬を飲むと気持ち悪くなってゲーする」と。
縄田容疑者は入院期間を延ばすために、娘に下剤を飲ませていたのだ。
はらわたが煮えくり返るような母親だが、行政や病院、学校の関係者は気が付かなかったのだろうか?
行政には匿名で「子どもが入退院を繰り返しているが、食事が与えられていないのでは?」とか「母親が子どもに罵声を浴びせている」という虐待を疑う通報が2件あったという。
そこで市の職員が、縄田容疑者や娘に聞き取りを行った結果「見守りが必要なケース」として登録した。しかしその後も娘が入退院を繰り返していたが、それ以上の対応はしていない。
学校は縄田容疑者が、「娘は難病で、検査のために入退院を繰り返している」というので、特に問題なしと判断したそうだ。
娘の虐待が発覚したのは、入院時に看護師が、娘に電話をかけてきた縄田容疑者の発言を、携帯電話のスピーカーホン越しに聞いたからだ。娘は泣いていたという。
縄田容疑者は「泣くなって、うっとうしいから」「泣いている理由は、ユーチューブばっかし見てたから怒られたって言いや」「食うなよ、寝とけ」などと言っていたという
日本では毎年50人ほどの子どもが、親など保護者に殺されている。つまり週に1回、どこかで子どもが殺されているのだ。縄田容疑者の娘が、無事保護されてよかった。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。