今季の巨人は開幕直後は投打がかみ合わない試合が続き、4月末までは5位と最下位を行ったり来たり。5月も中旬ごろまでは5位が続いていたが、同月30日から始まった交流戦では「9勝5敗」(6月15日試合前時点/首位タイ)と白星を先行させ、リーグ順位も3位まで上げてきている。
現在の巨人はチーム防御率(3.83)、救援防御率(4.32)がリーグ最下位、先発防御率が5位と投手陣が不調の一方、打線はチーム打率(.256)が2位、得点数(238得点)、本塁打数(72本)がリーグ1位と好調。ただ、野手陣の中には一定の結果を残しながらも起用法が安定していない選手がいる。その1人が来日2年目・31歳のウォーカーだ。
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2021年オフに巨人入りした外野手のウォーカーだが、翌2022年はセ外野手ではワーストタイの5失策を喫するなど深刻な守備難を露呈。ただ、打撃では規定未到達ながら「124試合(うち先発102試合)・.271・23本・52打点」と好成績をマーク。同年オフに年俸1億円(推定)の2年契約を結び、迎えた今季はさらなる飛躍が期待された。
ところが、今季はここまで「37試合(うち先発17試合)・.295・6本・18打点」と、打撃成績は上々ながらスタメン機会が減少。梶谷隆幸、秋広優人ら昨季は一軍にいなかった面々の存在もあり、起用法が流動的になっている状況だ。
打席では相応の結果を残しているだけに、ウォーカーの現状について巨人ファンの間では「使われ方がもったいない」、「もう少しスタメン起用すべきでは」という声が少なくない。一方、中には「逆に他球団には売り時ともいえる」、「トレードの駒にして投手獲る方がいいのでは」とトレードを推す意見もある。
球界ではチーム内情報の流出リスクなどを考慮し、トレードは別リーグ同士で行われることが多い。ウォーカーもトレードするならパ球団相手が現実的だが、今季のパで一定の結果を出している助っ人野手は日本ハム・マルティネス(51試合・.261・8本・20打点)のみ。その他は一発こそあるものの確実性に欠ける、もしくは一発すらさほど打てていない選手がほとんどだ。
また、パはセと違いDH制度が採用されているため、ウォーカーの守備難もさほど大きな問題にはならない。パ球団相手の“市場価値”は非常に高いことは明白で、仮にウォーカーをトレードの駒に使う場合は相応の見返りを求めることも十分可能だろう。
「パの現状を考えると巨人はどの球団とも交渉が可能といえますが、中でもパ最下位の西武は狙い目といえます。西武は今季5月上旬、主砲・山川穂高に知人女性へのわいせつ致傷疑惑が浮上。同月下旬には強制性交の疑いで書類送検されてもいますが、この間山川は登録抹消状態が続いており、その影響もあり一軍は得点数(162得点)がリーグ最下位に沈んでいます。巨人としては打線テコ入れが急務となっている西武にウォーカーをチラつかせれば、交渉次第では主戦級投手を2名獲得できる可能性も決してゼロではないのでは」(野球ライター)
首位・阪神との6.5ゲーム差、2位・DeNAとの3ゲーム差を縮める上では、投手陣の立て直しは必須といえる巨人。7月31日までとなるトレード可能期間内に、ウォーカーを使っての投手補強に乗り出すことは果たしてあるのだろうか。
文 / 柴田雅人