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「おぐらが斬る!」いまや富裕層が痩せて筋肉がある時代

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ほぼ間違いなく人類が誕生して、我々はもっとも豊かな時代を生きている。人類はずっと“飢えの恐怖”と戦ってきた。しかし現在、少なくとも日本において深刻な栄養不足に苦しむ人は極めて少なくなった・・・ はずである。

ところがだ。

終戦後で全国民が飢えていた時代、女性の平均摂取カロリーは1696キロカロリー、2013年は1628キロカロリーと終戦後より低くなっている。20代女性の8人に1人が痩せすぎだ。

理由は多くの女性が太ることを恐れて食事制限をしているから。文明が誕生してから太っていることは富の象徴だったのに、21世紀の日本では太っていることは「だらしない」とか「かっこわるい」とかになってしまった。

文明誕生以来、額に汗して肉体を使うのは貧しい人であった。ところがいまや町を歩いていると多くの人が、額に汗して走っている。東京都なら一つの駅に一つや二つトレーニングジムがあり、筋肉を鍛えている。

江戸時代の大店の若旦那とかは、極力肉体に筋肉を付けないようにしていた。筋肉があるということは、肉体労働をしているということであるわけで、筋肉がない方がモテたからだ。

それがいまやお金持ちほど筋肉を使い、昔の人から見れば一文の儲けにならないのに走っている。小学生などもいまや富裕層はスポーツ教室やスポーツチームに入っており、貧困層の子供は入れないため、富裕層の子供は貧困層の子供より運動能力が高くなっている。

貧困層の人はカップ麺などインスタント食品やスナック菓子でお腹を満たす傾向があるため、体形はぽっちゃりし、富裕層の人は肉体を鍛え食べるのを我慢する。人類史上こんなことは初めてであろう。

マリー・アントワネットは「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」といったとか。(本当はアントワネットではなく哲学者のジャン・ジャック・ルソーが自伝で書いたセリフであるらしい)

この言葉が本当に実現してしまったとも言える。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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