「ウワサだと、6月9日からのソフトバンク3連戦のどこかで登板してくるって話ですけど…」(スポーツ紙記者)
原監督が大変そうにしていた理由はファーム戦にある。同日の試合開始は午後2時だったが、その1時間前にファーム戦が始まり、菅野智之が先発したからだ。
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同日の「菅野先発」は原監督も知らされていた。しかし、一軍戦の先発・松井颯と菅野の両方を記者団に質問され、戸惑っているように見えた。
「ここ数日、菅野の状態が上向きだとの報告は受けていました。試合中盤、チームスタッフに『6回途中1失点』と好投したことも伝えられていましたが」(球界関係者)
直接見たわけでもなければ、データ資料も確認していない。だが、阿波野コーチは、
「だいぶ一軍が見えてきたんじゃないの?」
と言い、「(課題として)設定したものに結果も伴ってきて…」と、かなり具体的に答えていた。
「課題として設定されたこと? 真っ直ぐのスピードとスライダーのキレ。久保康生巡回投手コーチに見てもらい、良くなってきたとは聞いていますが」(前出・同)
繰り返しになるが、一軍戦が終了したこの時点では菅野の映像資料は見ていない。6回途中1失点という結果を聞き、「真っ直ぐのスピード、スライダーのキレ、その両方が戻っていなければ二軍戦でも抑えられない」と、阿波野コーチは考えたのだろう。
投手出身のプロ野球解説者がこう言う。
「ファーム戦だから1失点に収まったのでは。近年の菅野はコントロールが甘くなったと言うか、ストライクゾーンのギリギリを攻めるようなピッチングが見られません。この課題もクリアしないことには、一軍で投げることはできても勝てないのでは?」
コントロールと言えば、同日の一軍先発マウンドを任された松井も苦しんでいた。四球で自滅したわけではない。特に日本ハム・野村佑希に打たれたのは「高めの直球」であり、「打ってください」と言わんばかりだった。
「松井と野村は高校の同級生なのは有名な話。超高校級スラッガーとして騒がれ、スター街道まっしぐらだった野村に対し、松井は補欠のBチームでした。松井の肩に余計な力が入ってしまったのかもしれません」(前出・球界関係者)
松井は交代を告げられた後、悔しそうな顔を浮かべていた。いや、隠そうともしなかった。早熟な選手もいれば、松井のように20歳を過ぎてから覚醒する選手もいる。
同級生対決の第1ラウンドは松井の完敗だったが、こんな指摘も聞かれた。
「菅野は慎重になりすぎて失敗しているような気もします。菅野クラスのキャリア十分な選手でも勝ち星を欲しがるあまり、先制点を取られてはいけないとし、無駄な力が入っています。松井も野村と対峙して…」(前出・同)
投手とは感情に左右されやすいもののようだ。(スポーツライター・飯山満)