「私が課長を務める部署には、SとNという部下がいます。SはNの2つ上の先輩でプライドが高く、上下関係に厳しいタイプ。後輩のNは努力家で能力を重視するタイプです。この2人の折り合いが悪く、あまり連携が取れていないところがありました。そこで、不満を抱えているであろうNを誘い、飲みに行ったんですね。
そこで、“お前は能力が高い”“Sともうまくやって欲しい”とお世辞も交えつつ励ましました。すると、Nの表情も明るくなり、仕事への意欲も湧いているように見えました」
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これで2人の連携も取れるようになり、職場にも活気が戻るだろうと思ったものの、翌日、早速問題が起きてしまう…。
「昼休みが終わった頃でした。SとNが少し揉めているようだったので、仲裁に入ったんですね。どうしたのかと尋ねると、仕事の進め方で話が合わなかったようでした。Sは自分の経験からアドバイスを送ったものの、Nがそれを拒んだそう。すると、Nが“課長、僕の能力を認めてくれましたよね”と言いながら、スマホを取り出しました。そして何か音声を再生し始めました。それは、昨日の飲みの席での会話でした。なんとNは、知らない間にスマホで会話を録音していたのです。
Nに対して都合のいいことを言っている私の言葉が、しっかり録音されていました。そんなものを証拠資料として使用され、とても困りましたね。飲みの席での会話ということで、Sもある程度寛容に受け止めてはくれましたが、こっちの関係もしばらくギクシャクしました。以来、気軽に部下を誘えなくなり、飲みに行っても気を張っていなくてはならないので、全然楽しくありません」
部下同士の関係を修復しようとして気を遣って言った言葉が、逆に物議を醸してしまったようだ。今は、スマホには多くの機能が付いている。いつの間にか録音され、都合のいい部分だけを切り取られて、使われてしまうこともあるかもしれない。
写真・nrkbeta