アメリカでは投手交代を命じられた際に、ボールをバックスクリーンに投げ込むなど激情家と伝えられていたが、こと日本での行動は正反対。担当通訳も「非常に紳士的」と語り、ノックアウトされた新潟での試合後も約10分間、冷静にインタビューに応じるなどチームでもトップクラスの対応を見せてくれている。
その中身も「球種選択のミス、ボールの精度、最後に向こうのゲームプランが勝ったのではないか。その3つが合わさるとなかなかいい結果にはならない」と分析。特に球種選択には「2人の左バッターに合計6本のヒット、2本のホームランを打たれた。その中で真っすぐを2、3球しか投げていなかったのもありますし、攻め方選び方が良くなかった」と細部にまでこだわった内容を明かすなど、非常に丁寧な受け答えを見せた。
降板について「あの場面でもまだいけると伝えてはいたのですけれども、今日のところはここまでにしておこうという判断だった。最終的に判断するのはコーチや監督なので、そこのところは仕方ないかなと思います」と優等生発言に終始した。
最後に「アメリカで投げていたスタイルを続けているような感じなんですけれども、違うリーグ、違う野球があると思うので、これは自分も学ばなければいけないなということはすごく感じます」と日本野球にも敬意を持って順応すると宣言した。数々のバウアーの言動に『実るほど頭を垂れる稲穂かな』の言葉を、米どころ新潟でふと思い出した。
取材・文・写真 / 萩原孝弘