そんなファンにとっても最高な機会が、地元横浜での5戦目・4月9日に早くも訪れた。ここまで3連勝中と波に乗るベイスターズは、初回の攻撃からエンジン全開でドラゴンズ先発・福谷浩司に襲いかかり、トップバッターの佐野恵太の内野安打から送りバントを挟み、絶好調の宮崎敏郎がタイムリーで先取点ゲット。その後も打線の勢いは止まらず桑原将志、ネフタリ・ソトのタイムリーで3点を追加し、続く戸柱が「フルカウントでしたが自分のスイングで仕留めることができました」と自画自賛した打球はトドメとばかりに青く染まったライトスタンドに突き刺さった。
6点の大量援護を受けた石田健大はスイスイと6回無失点ピッチングで今シーズン初勝利を挙げ、公私共に仲のいい戸柱とお立ち台に上がった。その際に石田は「横の戸柱さんにしっかりと良いリードしていただきました」と感謝。ホームランについて振られた戸柱は「僕のことは正直どうでもいいんです」と謙虚に答えた後「チームが勝ったのと、本当に健大に勝ちがついたので良かったなぁと思ってます、はい」と“勝てるキャッチャー”をめざす戸柱らしいコメントを残した。三浦大輔監督も「カーブも低めに集めてました」と緩急をつけたピッチングを評価し、バッテリーで引き寄せた勝ち星に満足げな表情を見せていた。
昨年一番マスクを被った嶺井博希はチームを去り、ベイスターズでの在籍年数が一番長くなった戸柱。ここまで打率.400、OPS1.371、得点圏打率10割と絶好調のバッティングとインサイドワークに加え、ゲームに出ないときでも献身的にチームに貢献する“ハマの金剛力士”。この男の存在感は、とてつもなく大きい。
取材・文・写真 / 萩原孝弘