「今年の米フリーエージェント市場(以下=FA)における年俸2000万ドル強の大物選手たちの去就がほぼ決まりました。FAの獲得交渉の順番は、ビッグネームから階段式に下りていきます」(米国人ライター)
ようやく、藤浪にも交渉の順番が回ってきたようだ。
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「藤浪は鳴尾浜の阪神二軍施設で練習をしています。渡米し、自身が交渉に同席したり、米球団の施設を見学する予定はないと言っていました」(在阪記者)
12月9日に遡るが、藤浪は愛用するグローブの会社を訪れた際、「(移籍先が)決まるのは年明け、1月半ばくらい」とも話していた。自身の想像以上に交渉が早まったのは米FA市場の交渉が例年以上に急ピッチで進んでいるからだが、理由はそれだけではない。
代理人を務めるスコット・ボラス氏の“作戦勝ち”だ。
「2通りのレポートを用意しているみたい。先発投手として藤浪を見ている球団と、リリーフで考えているところに分け、交渉相手によって提示する条件や希望金額(年俸など)も変えています」(前出・同)
藤浪は近年の成績不振で、シーズンの半分をファームで費やしている。そのため、「データが少ない」とボヤく声も聞かれた。
ア・リーグ中部地区の米スカウトがこう続ける。
「身長197センチ(公称)で、150キロ以上を投げられると聞けば、誰だって興味を持ちますよ。スライダーやスプリット系の変化球も投げられる逸材が、日本で活躍できなかったのはナゼなのか? 原因が分からなければ、こっちに来てもアドバイスのしようがありません」
しかし、ボラス氏のレポートは細部にまで渡っており、「4、5球団が獲得に前向きになっている」(前出・現地メディア)という。
「レッドソックスが2人目の日本人選手を獲るかもしれないとの一報も駆け巡っています」(前出・同)
レッドソックスと言えば、前オリックスの吉田正尚を獲得している。米ウインターミーティングの交渉解禁初日、それも、数時間でまとまったスピード交渉劇だった。吉田の代理人もボラス氏である。
ボラス氏は合意後、「会見を行う」と米メディアに伝えておきながら、実際に現れたのはその数時間後だった。その間、藤浪の売り込みもしていたのだろうか。
「ボラス氏は敏腕代理人であり、交渉は常に強気で有名です。藤浪がどの球団に行っても、2年か3年、総額1000万ドルから1400万ドル(約18億5500万円)でまとまると思います」(前出・同)
2年1400万ドルなら、藤浪の新年俸は9億円以上となる。今オフの阪神の契約更改を見てみると、トップは西勇輝の推定2億5000万円、次は青柳晃洋の2億4000万円、近本光司の1億7000万円と続く。2023年、藤浪には“大型契約”に相応しいピッチングを見せてもらいたい。(スポーツライター・飯山満)