日本ハムからフリーエージェント宣言(以下=FA)していた近藤健介外野手が“西武入団を決意”――。この一報が飛び込んできたのは、11月21日の正午過ぎ。新庄剛志監督には申し訳ないが、残留の可能性はかなり低いと言われていた。だから、新天地が決まったことへの驚きはなかった。
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しかし、この一報に“不可解な話”も重なってきた。
「近藤がソフトバンクと交渉するのって、今日(21日)じゃないか?」
各方面にソフトバンクとの交渉日を確認したところ、「21日午後、都内ホテル」で間違いなかった。
西武サイドに入団の返事をした後であれば、ソフトバンクの交渉者と会うのは“マナー違反”だ。
仮にFA権を行使した時点で、近藤に“意中球団”があったとしても、口外しないものだ。また、西武側が一回目の交渉で“内諾”をもらえたとしても、近藤が別球団との交渉を控えているのであれば、ヒミツ厳守となる。その徹底ぶりに関して言うと、西武は特に厳しい。
「近藤と西武が交渉したのは16日でした。近藤が『野球少年』時代にファンだった松井稼頭央監督も同席し、手応えがあったそうです」(スポーツ紙記者)
近藤は故障で今季は規定打席には届かなかったが、5年連続で出塁率4割超をマークしている。バツグンのバットコントロールと選球眼の良さを兼ね備えたスラッガーが「動く」となれば、「パ5球団による争奪戦」となったのも当然だろう。
「ソフトバンクは編成担当者だけではなく、藤本博史監督、長谷川勇也打撃コーチも東京入りしました」(関係者)
関係者によれば、ソフトバンクの交渉チームは21日の当日移動だったという。その途中で「西武入りの一報」を耳にした可能性もある。藤本監督は、どんな心境だったのだろうか。
また、近藤獲得に成功したとされる西武サイドから、こんな情報も聞かれた。
「西武は森友哉をFAでオリックスに奪われていますが、今回は人的補償でなく、金銭のみとなるようです。来年オフ、順調に行けば、山川穂高と源田壮亮がFA権を取得します。チームの主軸とも言える2人の慰留は絶対であり、大幅昇給を提示しなければなりません」(プロ野球解説者)
山川、源田の慰留のための“資金作り”である。
だが、近藤を喪失した日本ハムの出方も分からない。仮に日本ハムが「金銭のみ」としてきた場合、近藤の今季推定年俸は2億5000万円だから、西武は「80%の2億円」を支払わなければならない。オリックス入りが決まった森は、2億1000万円。80%でも1億6800万円だから、山川、源田の慰留資金として備えることはできず、逆にマイナスとなる。
「森を失って近藤を得た損金はともかく、走れる選手をオリックスから獲る作戦に切り換えるのでは?」(前出・同)
こうしたカネの話を聞かされると、西武は近藤獲得の勝者とは言い切れないようだ。(スポーツライター・飯山満)