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手帳大賞は高橋書店が主催する「コトバとアイデア」のコンテストで、26回目となる本年は名言大賞で約48,000件、商品企画大賞で約2,300件の応募から、大賞と特別賞3点、優秀賞4点の合わせて8点が選ばれた。
審査員のいとうは「言葉の後ろにはアイデアが必要ですよね。アイデアに触れて脳が活性化する体験をしました」と挨拶。同じく審査員を務めた歌人の東直子は「自分が考えた言葉ではなく、誰かがぽろっとこぼした世界の片隅のちょっとした会話、こういう機会がなければ聞くことのできないセリフを聞かせていただける機会」、またフードエッセイストの平野紗季子は「日常に寄り添って光を灯してくれるような言葉に出会えて光栄です」と挨拶した。
大賞を受賞したのは、細川正子さんの「幸せだよ、だって私だもん!!」。看護師の娘さんを心配して尋ねた母に娘さんが返した言葉とのこと。細川さんは受賞の挨拶で「まさか大賞をいただけると思っていなかったので驚いています。娘とはしょっちゅう喧嘩していますが、コロナ禍の大変な時期に嫁に行って『この子、本当に大丈夫なのかな』と思った時、すごい笑顔でこの言葉が飛び出したので、びっくりすると同時に安心して涙が出てしまいました」と名言誕生の瞬間を語った。
講評で、平野は「困難な中でも自分の人生を愛する力、たくましさに似た前向きさが凝縮された大賞にふさわしい言葉」と称賛。また、東は「五七五七七の短歌も短い言葉という意味で似ているんですが、もっと生き方を共有できて、ちょっとした言い回しに新しい気づきがあり、心に留めたい言葉ばかりでした」と力作ぞろいの候補作を称えた。
最後にいとうから「『自分が言ったんじゃないですけど』という方が多いのがユニークで、それは聞く力なんだということがわかりました。僕たちが聞き逃したらその言葉は存在しなくなってしまうので、耳を澄まして聞き逃さず書き留めたその素晴らしさに拍手を送りたい」と話して締めくくった。
(取材・文・写真:石河コウヘイ)