ネフェルティティは古代エジプトの第18王朝時代、長年にわたり夫のファラオであるアクエンアテンとともに古代エジプトを統治していた。アクエンアテンの死後はツタンカーメン王が跡を継いだのだが、アクエンアテンが行った宗教的改革により死後は国内が混乱したため、ネフェルネフェルウアトンという名前のファラオが短い間統治したとも言われている。このネフェルネフェルウアトンは経歴がほぼ謎のため、実はネフェルティティが名前を変えて代理統治していたのではないかという説を唱える専門家もいるほどだ。
>>自警団やそっくりさん騒動も!4年ぶりに復活した怪人「ギンプ・マン」<<
ネフェルティティを謎めいた存在にしているのは、彼女の墓が発見されていないことにも由来している。ツタンカーメンが好例だが、記述が少なくても墓が見つかればその副葬品や墓に記された内容で、生前のことをある程度、把握することが可能となるからだ。
長年にわたりネフェルティティの墓を見つけるため、多くの考古学者たちが調査・研究を行ってきたが、未だに彼女の墓やミイラの所在は判明していない。
2015年にはニコラス・リーブス氏が「ツタンカーメンの墓の壁の後ろに隠し部屋があり、ネフェルティティのミイラがそこで発見されるのではないか」と指摘して注目を集めた。この時彼は「ツタンカーメンの墓の壁の中に仕込まれた、隠し扉の輪郭と思われるものを少なくとも1つは発見した」と発表。この結果を受けてエジプト当局は複数回の地中探知レーダーによるスキャンを実施した。中には隠れた部屋の存在を示す証拠らしきものもあったが、最終的な結論は出ないままで終了していた。
しかし先日、考古学者のザヒ・ハワス博士が、ネフェルティティ女王の「居場所」を実際に発見し、今年の秋には自分が知っていることをすべて明らかにするつもりだと発表したのである。
彼の主張は王家の谷にあるKV 21墓から発見された2つの無名のミイラを中心にしていると考えられている。どちらも女性の遺骨で、ツタンカーメンの妻であったアンケセナーメン王妃の可能性が考えられているが、今のところ決定的な身元特定には至っていない。しかしザヒ・ハワス博士はこのミイラの1つは間違いなくネフェルティティだと信じているようで、「10月には、ツタンカーメンの妻アンケセナーメンとその母親ネフェルティティのミイラの発見を発表できるだろう」 とインディペンデント紙に語っている。
一方で、ツタンカーメンの墓の壁に隠された象形文字の形から、再びネフェルティティの墓の存在を示す新たな証拠が浮上した。ツタンカーメンの墓には彼が後継者によって埋葬される様子が描かれているのだが、この絵はもともとネフェルティティ女王の埋葬を表している下書きが存在していたというのだ。
「壁画にはツタンカーメンを埋葬する神官のアイの姿とカルトゥーシュ(王等の名前が内部に刻まれた楕円形の輪郭)が描かれていますが、その下にはツタンカーメンの名前が入ったカルトゥーシュがありました。そのため、このシーンはもともとツタンカーメンが前任者であるネフェルティティを埋葬しているものだったと証明できます」 と、リーブス氏はガーディアン紙に語っている。
なお、リーブス氏はこの事実から、ツタンカーメンの墓がネフェルティティ女王の埋葬室を含めたもっと大きな複合墓の外側の部分にすぎないとも主張している。彼と同様の主張を行っている専門家は他にもおり、レーダー専門家のジョージ・バラード氏もまた「ツタンカーメン王の埋葬室のどこかに隠された入り口がある」と主張していた。
果たして、ツタンカーメンの墓からネフェルティティ王妃の謎に迫ることはできるのか。今後の調査が気になるところだ。
山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中
関連記事
Zahi Hawass claims that he has found the tomb of Queen Nefertiti
https://www.unexplained-mysteries.com/news/360769/zahi-hawass-claims-that-he-has-found-the-tomb-of-queen-nefertiti
New evidence points to presence of hidden chamber in King Tut's tomb
https://www.unexplained-mysteries.com/news/360889/new-evidence-points-to-presence-of-hidden-chamber-in-king-tuts-tomb