1990年8月4日、スコットランドのパースシャー郡カルバインにあるケアンゴーム国立公園を散策していた2人の若い男性が、上空に奇妙なひし形の物体が浮かんでいるのを発見した。不気味な物体を見て恐ろしくなった2人は、茂みの中に隠れてその物体を観察することにした。
するとしばらくしてイギリス空軍のジェット機が近づいてくる音がした。彼らの前で戦闘機はコースを変え、謎のひし形UFOの周りをしばらく旋回すると、元のコースに戻って飛び去っていったという。物体が姿を消したのはそれから数秒後で、上空へ猛スピードで飛び去っていったそうだ。
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幸いにも目撃者はカメラを持参していたため、写真を6枚撮影することに成功していた。実際、その写真には奇妙なひし形の物体とそれに向かっていく戦闘機の姿がはっきりと捉えられている。自分たちが見たものは間違いなくUFOだった、と確信した男たちはこの写真を地元の新聞社に渡したが、写真はすぐにイギリス国防省に引き渡され、新聞に掲載されることはなかったという。
この写真は実に30年以上機密扱いのままであったが、2021年に公開される予定となっていた。これはイギリスの情報公開法に基づくものだが、この事件のファイルについてはなぜかさらに公開が50年後に延長されてしまい、機密扱いになってしまったのである。
事件当時にイギリス国防省でUFO現象の調査にあたっていた経歴を持つUFO研究家のニック・ポープ氏はカルバイン事件について「最も説得力のあるUFO写真だった」と発表。当時イギリス軍の諜報部員が鑑定し、問題の写真を複製したものを公開した。そこには白黒で画質がかなり悪いものの、ひし形の巨大な物体が上空に鎮座している様子とイギリス空軍の戦闘機がはっきりと捉えられていた。
そして先日、退役軍人のクレイグ・リンゼイ氏が写真の一部を自分の机の中に隠していたことが判明。現在83歳の彼は、その画像をメディアに提供することを快諾し、ついに写真が日の目を見ることとなった。
さて、実際にこの写真が捉えていた物体の正体は何なのか。ニック・ポープ氏が語る当時の諜報部の鑑定結果によれば、この物体の大きさが約30メートルであることが分かったものの、画像からは従来の飛行機が備えている主翼や尾翼、エンジンなどの構造が確認できず、「起源不明の構造化された機体」と結論づけるしかなかったという。
これらの結果を踏まえ、国防情報部は「ロシア製でも、アメリカ製でもない全く未知の物体」という判断を下していたという。当初、国防省ではこの事件で目撃された飛行物体について外国の未知の戦闘機やスパイ機である可能性も考えていたため、軍の内部でも懐疑的な派閥と、UFOだと主張する派閥に分かれていたそうだ。
結局、カルバイン事件で目撃されたUFOの正体は何なのか。今後公開されるであろう実際の写真画像の分析によって、真相が明らかになるのかもしれない。
山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中
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UFO expert tells how 'dark forces were at work' to sabotage Calvine investigation(The Daily Star)より
https://www.dailystar.co.uk/news/latest-news/ufo-expert-tells-how-dark-27735951