このモニュメントは高さ約6メートルの花崗岩でできた石版でできており、中央に設置された一枚の石版を4枚の石版が囲み、その上に1枚の石版が屋根のように重ねられている。4つの石版には「人類発展のための10のガイドライン」が8つの言語で書かれており、屋根の石版には側面にヒエログリフなど4つの古代言語で短いメッセージが刻まれている。石組みは日時計や冬至・夏至、春分・秋分と同調するよう天文学的にも考慮した形で配置されている。古代のストーンヘンジなどを踏襲して建造されたのは間違いないようだ。
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このジョージア・ガイドストーンは1979年6月、R.C.クリスチャンという人物によって業者に発注され、翌1980年3月22日に大勢の人の前でお披露目された。しかし、建造された意図も何もかもが不明であり、刻まれた「10のガイドライン」は「公平な法律と公正な裁判で国民と国家を守れ」といった穏当な内容のものだけでなく、「自然と永遠に共存し、人類の人口を5億人以下に維持せよ」など、いささか物騒な文面のものもある。
そのため製作者は薔薇十字団やフリーメイソンなど秘密結社に属するものに違いないという説や、「新世界秩序に関連する邪悪な勢力が建てたものであり、彼らはどんな手段を使ってでもある種の人口管理をしようとしている」といううわさがささやかれ、様々な陰謀論に登場する存在となっていた。
そんなジョージア・ガイドストーンが今年7月6日早朝、何者かの手によって爆破・破壊されるという事件が発生した。ジョージア州捜査局によると、ガイドストーンのあるエルバート市住民が6日早朝、大きな爆発音らしきものを耳にして当局に通報。捜査の結果、4つあったガイドストーンのうち1つが大きく破損してがれきの山になってしまったことが判明した。
破損は他の柱にも影響を及ぼしている可能性があり、ガイドストーン全体の安定性が損なわれていると判断されたため、その日には現在の持ち主であるエルバート市の判断によって、完全に解体されてしまった。
一体何者がガイドストーンを破壊したのか気になるところだが、捜査はまだ初期段階で不明な点が多いとのこと。もっとも、ガイドストーンは前述の通り刻まれた文面がかなり物議を醸す内容であったため、今回の爆破以外にも度々落書きや破損に見舞われてきていた。
例えば2008年には「新世界秩序に死を」などのスローガンが塗料によって落書きされ、ワイアード誌はこの汚損を「ガイドストーンズの歴史における最初の深刻な破壊行為」と報じている。2014年9月にはエルバート郡の保守部門の職員が、「私は愛の女神イシス」という言葉を含む落書きで汚されているのを発見し連邦捜査局に連絡している。その後ガイドストーンには監視カメラが設置された。
積極的にガイドストーンを撤去する動きも存在しており、2022年のジョージア州共和党知事予備選挙に立候補したカンディス・テイラー候補は、選挙広告でジョージア・ガイドストーンを「悪魔的なモニュメント」と呼び、選挙綱領で当選した際には記念碑の撤去を行うよう働きかける、と明言していた。
今回の爆破もジョージア・ガイドストーンを何らかの邪悪なものとみなした人物による過激な破壊行為だったのだろうか。警察は今も犯人について調べを進めている。
山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中
関連動画
Damage at Georgia Guidestones after explosion(WYFF News 4のYouTubeチャンネル)より
https://www.youtube.com/watch?v=HYAaQ8u1Wiw
関連記事
Video: Sizeable Portion of Georgia Guidestones Destroyed by Explosion(coast to coast am)より
https://www.coasttocoastam.com/article/video-sizeable-portion-of-georgia-guidestones-destroyed-by-explosion/
参考記事
ジョージア・ガイドストーン(Wikipedia)より
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B3