「夫の不倫で苦労した母にはとても相談できず、かといってお腹の子にも愛着が湧いてきて、どうしてよいか分からなかったです。思い切ってSに相談したところ、“子どもができたのは嬉しいけど、今はタイミングが悪い”と言われてしまいました。皮肉なことに、奥さんも妊娠していたんです。彼からは、“ずっと奥さんと上手くいってない”と聞いていたんですけどね。
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彼は責任は取るとは言ってくれましたが、お腹の子も私と同じ片親で育つのかと思うと申し訳なかったですし、既婚者と関係を持った過去の自分も恨みました」
自分の子どもにも同じ運命を背負わせることに躊躇した美穂さん。出産も堕ろす決意もできず、ただただ悩む日々を過ごしていた。
「“いっそのこと、お腹の子と一緒に死んでしまおうか”とまで追い詰められました。でも、その前に母の声を聞きたい、自分のした過ちを謝りたいと思い、震える手で一人暮らしをしている母に電話をかけたんです。
私の話を聞いて、母は“すぐ行くから!”と言い、深夜バスに乗って家まで駆けつけてくれました。私は母が怒り狂っているのかと思っていましたが、母は泣きながら“あんたに何かあったらどうしようかと思った。なんで頼ってくれないんだ!”と抱きしめてくれたんです。私も子どもみたいにワンワン泣きじゃくりました。
2人で話し合い、会社は退職し地元で子どもを一緒に育てることになりました。母が間に入ってくれ、Sには認知をしてもらい養育費もきっちりもらうことに…正直、彼に未練はありませんが、子どもの父親であることは事実なので、今後も関わりは持っていくでしょう」
美穂さんが切望していた、「両親が揃う幸せな家族」とは違う形となった。しかし、母と一緒に子どもを育てる日々は、十分、満ち足りた幸福な日々だという。