本当に空飛ぶ円盤に乗って地球まで訪れているかどうかは別としても、宇宙には無数の天体が存在している。地球と同じような条件に恵まれ、知的生命体が存在する天体も低確率ではあるが存在するはずだ。この観点から考案されたプロジェクトが地球外知的生命体探査(Search for extraterrestrial intelligence、SETI)だ。
>>木星の小さな衛星エウロパに宇宙人が潜んでいる可能性か エウロパにて<<
これは電波望遠鏡で宇宙から受信した電波を解析して人工的な信号を探すというもので、逆に地球の側からも宇宙人へ向けて電波を送る試みもなされている。こちらはアクティブSETIと呼ばれ、その嚆矢(こうし)となったのが1974年にプエルトリコのアレシボ天文台から送られた「アレシボ・メッセージ」だ。
しかし、宇宙のどこかにいるかもしれない知性を持つ宇宙人文明と接触しようと電波を送るなどして注目させることは、「長い目で見れば賢明な行動とは言えないかもしれない」という意見も出てきている。
オックスフォード大学のFHI(Future of Humanity Institute)上級研究員であるアンダース・サンドバーグ氏は、アクティブSETIに関して「ある程度のリスクがある」ことを念頭に置いた方がいいと主張。メッセージが宇宙人に拾われる確率は極めて低いとはいえ、「万が一受け取った相手が敵対的な存在であれば、望ましくない結果になる可能性がある」と述べている。
また「宇宙人とのコンタクト」は、実現すれば人類史上かなり重要な事象になるにもかかわらず、多くの人が真剣に受け止めていないことも難点だと述べている。彼と同様の懸念を表明する学者は他にもおり、故スティーブン・ホーキング博士も、うっかり敵対的な宇宙人の注意をひいた際は悲惨な結果を呼びかねないと危険性について警告していた。
では、広い宇宙にはどれだけ「敵対的な宇宙人(地球外知的生命体)」がいる可能性があるのだろうか。
研究者のアルベルト・カバジェロ氏によれば、地球上における侵略の分析と、天の川銀河系にある太陽系外惑星の推定数に関するデータなどから推測した結果、我々の銀河系にもし悪意や敵対的な感情を持つ宇宙人の文明があったと仮定しても、たった「4つ」にしかならないという結果になったという。
この結果を踏まえると、「我々がメッセージを送る惑星を持つ文明が地球外生命体に侵略される確率は、惑星殺しの小惑星衝突の確率より2桁ほど低いことになる」とカバジェロ氏は述べている。
もちろん現状、我々は地球外文明について何も知らないし、彼らの行動を我々が知っている人間社会に基づいて考えることは、おそらく無意味だと思われる。地球外知的生命体がいたとして、我々と同じ脳や感覚を有しているとは考えにくいからだ。いずれにせよ、我々が地球外知的生命体と本当の意味で出会えるのはもう少し先のことになるのかもしれない。
山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中
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Study suggests that there are four malicious alien civilizations in our galax(unexplained-mysteries.com)より
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