しかし、宇宙に近い国際宇宙ステーションで採取されたサンプルから、これまで発見されていなかった菌類を発見し、分離に成功したという発表があった。
>>タコは「宇宙から来たエイリアン」!?驚きの科学論文が掲載される<<
問題のサンプルは2015年に国際宇宙ステーションの8カ所で採取されたもの。そのうち、天井パネルで採取された「IF7SW-B2T」、同年5月に観測用モジュール「キューポラ」で採取された「IIF1SW-B5」、同年5月にダイニングテーブルで採取された「IIF4SW-B5」が新種であることが判明している。
いずれもメチロバクテリウム属のもので、地球では環境中に広く生息しているもの。身近なところでは、風呂場などに現れるピンク色の汚れの原因として見つかることも多い菌だ。
科学雑誌『Frontiers In Microbiology』に掲載されたNASAの研究によると、新たなメチロバクテリアの3つの株はいずれも「棒状で動くことができる」もので、ゲノム解析により植物の生長を促進する植物ホルモン「サイトカイニン」の生成に不可欠な酵素の遺伝子を持つことが判明している。実際、この新種の微生物が発見された場所には、無重力状態で作物を栽培する特別な植物成長室が含まれている。
NASAの科学者であるニティン・クマール・シン博士とカスリ・ベンカテスワラン博士は、新たに発見されたメチロバクテリウムの菌株について「今後宇宙で植物を栽培するために有用な特性を持っている可能性がある」と語っている。
宇宙は資源が乏しい極限環境だが、こういったストレスの多い条件下で植物を生育するにあたっては、その生育を助ける新しい細菌を見つけることが不可欠であるという。そのため、今回発見された3つの菌株はまさしくうってつけなのだ。将来的には火星にコロニーを作り、火星で植物を生育させることも研究されているが、これら3つの菌株は重要な役割を果たすかもしれない。
この発見は非常に重要であると考えられており、現在宇宙で微生物を収集、処理、分析するための新しい生物学研究所を備えるために、宇宙ステーションを拡張することが期待されているという。現在の国際宇宙ステーションは2030年で運用が終了されることとなったが、新たに建造される場合はこの研究所がステーション内部に設けられることになるのかもしれない。
山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中
関連記事
Mankind finally discovers aliens – and they're onboard the International Space Stati(daily star)より
https://www.dailystar.co.uk/news/latest-news/mankind-finally-discovers-aliens--26252431
国際宇宙ステーションで新種の微生物が発見される(Newsweek日本版)より
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/03/post-95856.php