「カンバーランドの宇宙人(Cumberland Spaceman)」と呼ばれている写真で、花を手に笑顔で写っている女の子の背後に、全身白いスーツに身を包んだ宇宙飛行士のような姿の人物が立っているというものだ。この写真は1964年5月23日に消防士のジェームズ・テンプルトン氏が妻と当時5歳の娘を連れて自然公園を訪れた際に撮影したもの。連続して3枚撮影したそうなのだが、奇妙なものが写っていたのはこのときだけ。また、周囲に人はおらず、人に見えるような物体もなかったという。
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長年、この「宇宙服のような人物」の正体については議論が交わされてきた。写真やカメラを鑑定したところ、トリックの痕跡もなく「少女の背後に何らかの物体が写っているのは間違いない」ことが判明している。
そこで「遠景にいた人物が、撮影に気づいて引き返したタイミングでシャッターが切られた」という説が最も有力とみられている。しかし、テンプルトン氏によれば当日、自然公園には彼の家族以外に2人の老婦人がいたが、撮影時には近くにいなかったとテンプルトン氏は証言している。また、写真の人物の格好に似た服を着る職業である養蜂家ではないのか、という説も出てきていた。
一方で当日、撮影場所の自然公園近郊でUFOが目撃されたという証言もあったという。また、テンプルトン氏のもとにはUFOの写真を撮影したり、情報を入手した人の前に訪れるという謎めいた黒スーツの人物「M.I.B(メン・イン・ブラック)」が尋ねてきたこともあったそうだ。だとすると、彼が撮影してしまったのは本物の宇宙人だったのだろうか?
だが、最近になってテンプルトン氏へのインタビュー内容や最新の写真分析結果が公開された。当時の状況と照らし合わせた結果、宇宙人の正体はテンプルトン氏の妻だった可能性が高くなってきた。白い宇宙服は彼女がその日着用していた水色のドレス、ヘルメットのバイザーのように見える箇所はボブカットにした彼女の髪だった可能性が高いというのだ。撮影時、カメラが露出オーバーだったのと、妻が少し離れたところで動いていたため、奇妙な姿で写ってしまったものとみられている。なお、テンプルトン氏の家を訪ねてきたMIBについては、彼自身も「詐欺かいたずらだった」としており、追い返していたそうだ。
(山口敏太郎)